1-ブタノールによるオルガノソルブ処理と酸化鉄系触媒を用いた可溶化リグニンの接触分解によるフェノール類の製造

本研究では,スギを原料に1-ブタノールを用いてオルガノソルブ処理をオートクレーブ中,無触媒またはシリカアルミナ触媒下で実施し,構成成分であるリグニンとヘミセルロースの可溶化による固形セルロースとの分離を検討した。また,可溶化リグニンを原料に酸化鉄系触媒による接触分解を実施し,フェノール類の製造を検討した。オルガノソルブ処理では,473 Kのとき無触媒条件下で可溶化リグニンの重量平均分子量が2501であったのに対して,シリカアルミナ触媒存在下では2060まで分解が促進された。さらに,503 K以上では固形セルロースの可溶化が進行し,可溶化リグニンとの分離が困難となるため,処理温度はセルロースを固...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 62; no. 1; pp. 37 - 44
Main Authors 佐藤, 信也, 麓, 恵里, 吉川, 琢也, 川又, 勇来, 中坂, 佑太, 多湖, 輝興, 増田, 隆夫, 小山, 啓人
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 01.01.2019
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.62.37

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Summary:本研究では,スギを原料に1-ブタノールを用いてオルガノソルブ処理をオートクレーブ中,無触媒またはシリカアルミナ触媒下で実施し,構成成分であるリグニンとヘミセルロースの可溶化による固形セルロースとの分離を検討した。また,可溶化リグニンを原料に酸化鉄系触媒による接触分解を実施し,フェノール類の製造を検討した。オルガノソルブ処理では,473 Kのとき無触媒条件下で可溶化リグニンの重量平均分子量が2501であったのに対して,シリカアルミナ触媒存在下では2060まで分解が促進された。さらに,503 K以上では固形セルロースの可溶化が進行し,可溶化リグニンとの分離が困難となるため,処理温度はセルロースを固体成分として回収できる473 K付近が適することが分かった。分子量分布と熱分解GC-MSの結果から,可溶化リグニンは1-ブタノール相に主に存在することが示された。そこで,可溶化リグニン成分の接触分解反応を高圧流通式反応器を用いて673 Kで実施した。その結果,可溶化リグニンに対してフェノール類を9.6 C-mol%の収率で得た。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.62.37