言語聴覚士の立場から : 治療のために神経心理学を駆使するということ

臨床神経心理士資格が 2019 年度に創設された。神経心理学研究の歴史のなかで, 言語機能は, 古来その主たる関心領域であった。言語機能のリハビリテーションを業務とする言語聴覚士は, 当然神経心理学に習熟している必要がある。失語症のリハビリテーションを考えるうえで, 重要と思われる神経心理学的概念を挙げた。1 つは, 縦としての神経心理学的階層構造と, 横としての言語機能の構造モデルである。 もう 1 つは, 陰性症候と陽性症候の概念である。また, 症例を通して, 言語症状の背景にある神経心理学的障害を想定して治療戦略を立てることの重要性を述べた。脳損傷の治療に携わる者にとって, 神経心理学は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 42; no. 2; pp. 172 - 176
Main Author 佐藤, 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 30.06.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.42.172

Cover

More Information
Summary:臨床神経心理士資格が 2019 年度に創設された。神経心理学研究の歴史のなかで, 言語機能は, 古来その主たる関心領域であった。言語機能のリハビリテーションを業務とする言語聴覚士は, 当然神経心理学に習熟している必要がある。失語症のリハビリテーションを考えるうえで, 重要と思われる神経心理学的概念を挙げた。1 つは, 縦としての神経心理学的階層構造と, 横としての言語機能の構造モデルである。 もう 1 つは, 陰性症候と陽性症候の概念である。また, 症例を通して, 言語症状の背景にある神経心理学的障害を想定して治療戦略を立てることの重要性を述べた。脳損傷の治療に携わる者にとって, 神経心理学は患者の生活の質向上のために必要な学問領域である。この資格を取得することで, より分析的・戦略的な治療過程の構築に取り組んでもらいたい。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.42.172