低温スターリングエンジン補稿

低温側熱源温度を5℃~20℃、高温側熱源温度を95℃、温度差を75℃~90℃とする低温スターリングエンジンの開発は例がなく、前報*1では変数全てを対象に感度分析・最適化を進めたため、計算量は膨大になり一部は概数で対応し、また「仮定した諸定数・計算過程の精度から評価の厳密さは求められない、実験で確認する」とした。更に実験機は製作コストを抑えるため、普及機への段階性を保ちながらもサイズは小さくしたが、摩擦およびクランク室圧力では感度分析・最適化が不十分なことが危惧された。 本報では、摩擦ロスや作動気体熱容量への影響が大きい連棹比、クランク室/作動気体圧力比、シリンダとPTFEの重なり厚、および位相...

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Published inMACRO REVIEW Vol. 33; no. 2; pp. 114 - 126
Main Authors 八木田, 浩史, 角田, 晋也, 伊藤, 拓哉, 鈴木, 誠一, 小島, 紀徳, 迯目, 英正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本マクロエンジニアリング学会 2021
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ISSN0915-0560
1884-2496
DOI10.11286/jmr.33.114

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Summary:低温側熱源温度を5℃~20℃、高温側熱源温度を95℃、温度差を75℃~90℃とする低温スターリングエンジンの開発は例がなく、前報*1では変数全てを対象に感度分析・最適化を進めたため、計算量は膨大になり一部は概数で対応し、また「仮定した諸定数・計算過程の精度から評価の厳密さは求められない、実験で確認する」とした。更に実験機は製作コストを抑えるため、普及機への段階性を保ちながらもサイズは小さくしたが、摩擦およびクランク室圧力では感度分析・最適化が不十分なことが危惧された。 本報では、摩擦ロスや作動気体熱容量への影響が大きい連棹比、クランク室/作動気体圧力比、シリンダとPTFEの重なり厚、および位相差について精査し、感度分析不十分の危惧を解消することを目的とした。結果、連棹比は6.4(前設計3.84)、クランク室/作動気体圧力比は1.0(前設計では実験で最適化するとした)、シリンダとPTFEの重なり厚は高温側0.02mm・低温側0.10mm(前設計では共に0.05mm)、位相差は実験環境で6.0°、実用環境で8.7°(前設計では2°~3°、実験で感度を確認、最適化するとした)とし、摩擦ロスや1サイクルの仕事量を低減、回転数や作動気体熱容量を最大化することで、出力は283W(前設計237W,実験環境)、発電効率は8.9%W(前設計8%)、実用環境では出力3kWの発電効率は11.8%、10kWで12.1%とし、目標*212%を達成した。
ISSN:0915-0560
1884-2496
DOI:10.11286/jmr.33.114