立位・蹲踞位での左右荷重率と骨盤の高さの関連性

【目的】 荷重バランスが筋緊張や姿勢制御に影響することを臨床上よく経験する。姿勢制御を考えていく中で、荷重優位側、非荷重優位側の違いによって、下肢・体幹筋の遠心位方向や求心位方向への働き方の違いが出ると考える。その考え方をもとに、日々の臨床にてしゃがみ込み動作における骨盤の動きを評価している。今回はその評価の有用性を調査する目的にて、立位・蹲踞位における左右荷重バランスの違いによって、しゃがみ込み動作における動作終了肢位である蹲踞位での骨盤の高さにどういった傾向があるのかを調査したので報告する。 【対象】 下肢疾患のない健常成人10名(男性7名、女性3名)平均年齢29.4±6歳。 【方法】 立...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2010; p. 158
Main Authors 仲間, 栄二, 新垣, 太樹, 比嘉, 竜二, 目島, 直人, 宮城, 健次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2010
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2010.0.158.0

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Summary:【目的】 荷重バランスが筋緊張や姿勢制御に影響することを臨床上よく経験する。姿勢制御を考えていく中で、荷重優位側、非荷重優位側の違いによって、下肢・体幹筋の遠心位方向や求心位方向への働き方の違いが出ると考える。その考え方をもとに、日々の臨床にてしゃがみ込み動作における骨盤の動きを評価している。今回はその評価の有用性を調査する目的にて、立位・蹲踞位における左右荷重バランスの違いによって、しゃがみ込み動作における動作終了肢位である蹲踞位での骨盤の高さにどういった傾向があるのかを調査したので報告する。 【対象】 下肢疾患のない健常成人10名(男性7名、女性3名)平均年齢29.4±6歳。 【方法】 立位・蹲踞位での左右荷重率をそれぞれ2回計測した。計測機器として、近年重心動揺計として検証されている任天堂社製Wii fitプラス(Balance Wii Board)の重心測定機能を使用した。今回骨盤の高さは、後方前額面からのPSISの高さとした。蹲踞位での荷重率測定時にPSISにマーキングし、それをデジタルカメラにて撮影(RICOH製CX1)。撮影した画像から左右の高さを判定。立位・蹲踞位での荷重率を比較し差のあった者を対象とした。その中から左右PSISの高さと比較、傾向を確認した。 【結果】 立位での荷重率が2回とも同側であった者を立位荷重差有意群(以下、立位群)とした。立位群は10名中6名であった。立位群の中で、蹲踞位で荷重差有意となったのが6名中4名であった。うち2名が非荷重優位側での骨盤が高位であった。しかし、立位、蹲踞位での荷重優位側が同側で、かつ非荷重優位側の骨盤が高位であったのは0名であった。 【まとめ】 荷重バランスと姿勢制御との関連は様々であるが、荷重バランスの偏りが筋緊張や姿勢・動作パターンを作り身体各所へのストレスとなっていくことが考えられる。本研究では立位における荷重傾向が、蹲踞位での荷重や骨盤の高さへ何らかの関連性を示すのではないかと推察されたが、その関連性は認められなかった。今回の結果から、立位から蹲踞位における荷重バランスの対応は様々であり、重心位置だけでなく、足圧分布や、骨盤や下肢のアライメント、足関節背屈可動性などを考慮する必要があると考えられた。今後は3次元的な姿勢の傾向を含めて、動きの関連性をみていきたい。
Bibliography:240
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2010.0.158.0