1歳3か月の女児に発生した下顎骨骨折の1例

「緒言」幼児に発生した骨折の治療は, 顎骨の成長発育や歯胚の存在を考慮しなければならず, また患者の十分な協力が得られないため困難なことが多い. 今回, われわれは1歳3か月の女児に発生した下顎骨骨折に対してブラケットを用いてエラスティックによる牽引を行い, 良好な結果を得た1例を経験したので報告する. 「症例」患者:1歳3か月, 女児. 初診:2003年10月29日. 主訴:口腔内出血および顔貌の非対称. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 現病歴:2003年10月29日, 駐車中の母親の自転車の前かごに固定されていたところ, 自転車ごと転倒し, 右顔面をアスファルト道路で強打した. 搬送先の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in小児口腔外科 Vol. 16; no. 2; pp. 177 - 181
Main Authors 津田, 善造, 西川, 正典, 山本, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 25.12.2006
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-5261
1884-6661
DOI10.11265/poms1991.16.177

Cover

More Information
Summary:「緒言」幼児に発生した骨折の治療は, 顎骨の成長発育や歯胚の存在を考慮しなければならず, また患者の十分な協力が得られないため困難なことが多い. 今回, われわれは1歳3か月の女児に発生した下顎骨骨折に対してブラケットを用いてエラスティックによる牽引を行い, 良好な結果を得た1例を経験したので報告する. 「症例」患者:1歳3か月, 女児. 初診:2003年10月29日. 主訴:口腔内出血および顔貌の非対称. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 現病歴:2003年10月29日, 駐車中の母親の自転車の前かごに固定されていたところ, 自転車ごと転倒し, 右顔面をアスファルト道路で強打した. 搬送先の救急病院で下顎骨骨折を疑われ, 当科を紹介され受診した. 現症:口腔外所見;顔貌は非対称で右側頬部のびまん性腫脹とオトガイ部の擦過傷が認められた. 口腔内所見;右側下顎第1乳臼歯遠心舌側部に歯肉の裂創があり骨露出と骨の破折が認められた. また, 右側下顎第1乳臼歯は舌側転位しており. 下顎正中は左方へ約7mm偏位していた.
ISSN:0917-5261
1884-6661
DOI:10.11265/poms1991.16.177