理学療法教育における客観的臨床能力試験(OSCE)の開発と試行

本研究の目的は理学療法教育のためのOSCEを新たに開発し,その試行結果の分析を行うことにより効果的な実習教育の方法を検討することにある。理学療法版OSCEを開発し,本専攻の教官全員が関わり全30頁からなる理学療法版OSCE要項(マニュアル)を作成した。対象は,4年次の臨床実習を直前に控えた学生18名であった。課題は全4課題とし,各課題は25〜29項目の設問から構成した。課題1は脈拍,血圧測定,課題2は関節可動域検査,徒手筋力検査であり,ともに人工膝関節置換術後患者を想定した。課題3は医療面接,課題4はバランス検査であり,ともに片麻痺患者を想定した。総合計の平均では78.4%の正解率であった。課...

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Published in理学療法学 Vol. 31; no. 6; pp. 348 - 358
Main Authors 坂本, 雅昭, 渡邉, 純, 内山, 靖, 松田, 祐一, 山口, 晴保, 浅川, 康吉, 山路, 雄彦, 中澤, 次夫, 遠藤, 文雄, 臼田, 滋, 茂原, 重雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.10.2004
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00003654240

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Summary:本研究の目的は理学療法教育のためのOSCEを新たに開発し,その試行結果の分析を行うことにより効果的な実習教育の方法を検討することにある。理学療法版OSCEを開発し,本専攻の教官全員が関わり全30頁からなる理学療法版OSCE要項(マニュアル)を作成した。対象は,4年次の臨床実習を直前に控えた学生18名であった。課題は全4課題とし,各課題は25〜29項目の設問から構成した。課題1は脈拍,血圧測定,課題2は関節可動域検査,徒手筋力検査であり,ともに人工膝関節置換術後患者を想定した。課題3は医療面接,課題4はバランス検査であり,ともに片麻痺患者を想定した。総合計の平均では78.4%の正解率であった。課題別では医療面接のみが他の課題に比較して有意に低かった。評価は8名の教官が2名ずつでおこなったが,各2名の評価の一致率は概ね70%であった。理学療法版OSCEは医学教育で用いられているOSCEと同様に基本的技能や接遇を評価する試験として用いることができると考えられた。また,総合印象を加えることで臨床実習の適応能力も総合的に把握できると考えられた。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003654240