OSA-IIを用いて自己認識を高め、活動意欲の向上により行動変容が現れた一症例

【はじめに】  訪問リハビリ(以下、訪問リハ)で、運動機能に対して活動意欲が低下し作業活動への参加がみられない症例を担当した。OSA‐IIを用い活動意欲を高め作業活動への参加へ働きかけたことで、生活の変化、QOLが向上したので報告する。 【症例紹介】  70歳代女性 疾患名:右大腿骨頭壊死 既往歴:統合失調症、糖尿病 生活歴:H21.9腰痛によりADL困難となり、同月より訪問リハ開始。腰痛軽減によりADL改善し屋内移動は四つ這い若しくは独歩となるが、歩行時に右膝の疼痛出現、活動意欲低下し作業活動への参加困難。 【作業療法評価】  OSA‐II:1.生活している所を片付ける2.やらなければならな...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2011; p. 113
Main Authors 前田, 英児, 川口, 和久, 當眞, 陽奈, 吉村, 尊子, 野尻, 良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2011
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2011.0.113.0

Cover

More Information
Summary:【はじめに】  訪問リハビリ(以下、訪問リハ)で、運動機能に対して活動意欲が低下し作業活動への参加がみられない症例を担当した。OSA‐IIを用い活動意欲を高め作業活動への参加へ働きかけたことで、生活の変化、QOLが向上したので報告する。 【症例紹介】  70歳代女性 疾患名:右大腿骨頭壊死 既往歴:統合失調症、糖尿病 生活歴:H21.9腰痛によりADL困難となり、同月より訪問リハ開始。腰痛軽減によりADL改善し屋内移動は四つ這い若しくは独歩となるが、歩行時に右膝の疼痛出現、活動意欲低下し作業活動への参加困難。 【作業療法評価】  OSA‐II:1.生活している所を片付ける2.やらなければならないことを片付ける3.やろうと決めたことをやり遂げている FIM:116/126点(移動5点、階段1点)IADL:週5日介護タクシー利用にて通院 VAS:7(部位:右膝関節上部、内側) 【介入の基本方針】  施したい作業活動を明確化し、活動への動機付けを行うことで目標達成に向けた活動意欲の維持・向上を図る。毎回目標確認し、疼痛や疲労について言語化した上で家事動作の選択を誘導する。 【経過】  導入期:作業療法(以下、OT)開始(3回/W)。腰痛のため座位保持困難、OT介入により腰痛軽減し座位時間延長。  ラポール形成期:精神面不安定となり訪問リハ拒否。家事をしたいと発言あるが右膝の疼痛出現し作業活動に対し消極的・拒否的である。疼痛管理のため理学療法(以下、PT)開始(1回/W)、OT2回/W、徐々に疼痛軽減し歩行距離延長。  行動変容期:精神面安定し、訪問リハへの拒否が無くなった為OSA‐II施行、目標設定・共有する。家事動作の一部と散歩など作業活動への参加可能となる。実施できた作業活動に対し正のフィードバックを行い、作業遂行能力へ理解を示す。活動への動機付けに合意し意欲的になる。 【結果】  FIM:110/126点(移動7点、浴槽移乗1点、階段5点、清拭1点) IADL:夫が運転をする自家用車にて通院。自室の清掃や食器洗い、洗濯物たたみを行う VAS:4(部位:変化) 【考察】  身体機能面は改善しているが作業活動への参加が見られない時期があった。統合失調症の症状により精神面不安定となり、訪問リハに拒否が見られた。拒否の時期、症例のペースに合わせた関わりを行ったことがラポール形成に繋がったと考える。精神面安定しラポール形成後にOSA‐IIを実施したため、目標の設定・共有がスムーズになり自己認識を促せたと考える。また動機付けとして正のフィードバックにより強化したことで活動意欲の維持・向上が図れたと考える。加えて、PTが疼痛治療、OTが作業活動へのアプローチを分担出来たことで生活上での変化が現われQOLの向上に繋がったと考える。
Bibliography:113
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2011.0.113.0