在宅パーキンソン病者における介護者の介護負担感
【はじめに】 今回、在宅パーキンソン病(以下、PD)者のHoehn-Yahrの重症度分類(以下、stage)と介護負担感の関係性について調査したので報告する。 【対象】 2009.4.1現在で当訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)センターから訪問リハビリを受けているPD13名と、同居している家族のうち主に介護を行っている主介護者13名。 【方法】 介護負担感を示すZarit介護負担尺度日本語版(以下、J-ZIB)と、生活満足度を示すPGCモラールスケール(以下、PGC)を主介護者に調査した。J-ZIBとstage、PGCの相関関係をスピアマンの順位相関係数を用いて調査した。PD者...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2009; p. 211 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2009
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu |
Subjects | |
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ISSN | 0915-2032 2423-8899 |
DOI | 10.11496/kyushuptot.2009.0.211.0 |
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Summary: | 【はじめに】 今回、在宅パーキンソン病(以下、PD)者のHoehn-Yahrの重症度分類(以下、stage)と介護負担感の関係性について調査したので報告する。 【対象】 2009.4.1現在で当訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)センターから訪問リハビリを受けているPD13名と、同居している家族のうち主に介護を行っている主介護者13名。 【方法】 介護負担感を示すZarit介護負担尺度日本語版(以下、J-ZIB)と、生活満足度を示すPGCモラールスケール(以下、PGC)を主介護者に調査した。J-ZIBとstage、PGCの相関関係をスピアマンの順位相関係数を用いて調査した。PD者の生活状況の指標として機能的自立度評価表(以下、FIM)を調査した。尚、本研究は当院倫理委員会の承認を得て、対象者には調査の目的・内容を説明し、同意を得た上で実施した。 【結果】 各stageのJ-ZIBの得点は、stageII:28.0±5.7点、stageIII:22.0±2.7点stageIV:38.5±11.4点、stageV:20.5±2.1であった。各stageのPGCの得点はstageII:6.0±0点、stageIII:13.0±4.6点、stageIV:7.5±3.6点、stageV:10.5±5.0点であった。PGCとJ-ZIB、 stage間に相関は認められなかった。J-ZIBとstageで相関は認められなかったが、stageII、III、VのJ-ZIBの平均点が同程度であるのに対し、stageIVだけが高い値を示した。FIMではstageII、IIIに比べてstageIVで5点以下となる項目が多く、stageVでは1点の項目が多かった。 【考察】 今回、各stageの主介護者の介護負担感を調査した。stageIVの主介護者のJ-ZIBが最も高いという結果となった。StageIVはADL全般に介助が必要となる時期であるため、主介護者の介護負担感が最も高くなったと考えられた。それに対し、stageII、IIIは時間をかければADLは自立可能な時期であること、stageVはADLがほぼ全介助であるが寝たきりのため主介護者の生活時間に合わせて介助を行えることが、stage IVに比べて介護負担感が低くなった要因と考えられた。 J-ZIBとPGC、PGCとstage間では相関が認められずPDが進行性疾患で今後症状が重度化していくことや、それによって介護負担が増大していくことが、主介護者の生活満足度の低下に直接的には影響していないことを意味する結果となった。 今回の結果から、PD者に対して、ADLが自立している期間を継続できるような訪問リハビリの介入を行い、介護負担感が増大してくる時期では各職種間で主介護者の介護負担感を軽減できるような連携を図っていく必要があると考えられた。 |
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Bibliography: | 211 |
ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2009.0.211.0 |