降雨時における斜面表層崩壊を再現する簡易解析モデルの提案

本研究では,降雨時の斜面表層部の水の流れを考慮した表層崩壊に対する危険度評価のための解析モデルを3次元有限要素法等と比較して簡易な計算手法によって構築した。まず,現地での地下水位および飽和度の計測結果から,地下水位が上昇し始める際の飽和度は,その時までの総雨量の大小によらずほぼ一定となることを見出した。この計測結果から,地下水位の予測には飽和度を用いることが有用であると考えて,土の保水性等をパラメータとした2次元飽和・不飽和浸透流解析を実施した。この解析結果を用いて土の保水性別に降雨時の地下水位を再現できる簡便な飽和度 ~ 地下水位関係を定式化した。この飽和度 ~ 地下水位関係を用いた解析結果...

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Published in地盤工学ジャーナル Vol. 8; no. 4; pp. 579 - 595
Main Authors 太田, 直之, 杉山, 友康, 川尻, 峻三, 浅野, 嘉文, 渡邉, 諭, 布川, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 2013
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ISSN1880-6341
DOI10.3208/jgs.8.579

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Summary:本研究では,降雨時の斜面表層部の水の流れを考慮した表層崩壊に対する危険度評価のための解析モデルを3次元有限要素法等と比較して簡易な計算手法によって構築した。まず,現地での地下水位および飽和度の計測結果から,地下水位が上昇し始める際の飽和度は,その時までの総雨量の大小によらずほぼ一定となることを見出した。この計測結果から,地下水位の予測には飽和度を用いることが有用であると考えて,土の保水性等をパラメータとした2次元飽和・不飽和浸透流解析を実施した。この解析結果を用いて土の保水性別に降雨時の地下水位を再現できる簡便な飽和度 ~ 地下水位関係を定式化した。この飽和度 ~ 地下水位関係を用いた解析結果は,現地計測で得られた地下水位の経時変化と良く一致し,降雨における斜面内の水分挙動を表現できることがわかった。さらに飽和度上昇による粘着力の低下を考慮して崩壊斜面の事後解析を実施したところ,解析結果は対象とした斜面の崩壊時間や崩壊箇所が一致し,提案する解析モデルの有用性について確認した。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.8.579