木質バイオマスとプラスチックの共液化における溶媒循環に関する検討

木質バイオマス単独の溶媒循環型直接液化プロセスでは,次循溶媒量が確保できないことが問題であった。そこで著者らは,プラスチックとの共液化による溶媒補填および初期溶媒の分解挙動について検討した。木質バイオマスとしてはスギを,プラスチックとしては廃プラスチックを想定して,ポリプロピレン,ポリエチレンおよびポリスチレンを,初期溶媒には鉱油を用いた。スギと各プラスチックの共液化における温度の影響および溶媒循環の可能性について検討を行った結果,以下の事が判明した。400℃より高い温度では試料との相互作用により,鉱油の分解が生起するため,反応温度は400℃以下が望ましい。ポリスチレン以外では,共液化の相互作...

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Published in日本エネルギー学会誌 Vol. 97; no. 1; pp. 8 - 15
Main Authors 伊藤, 拓哉, 角田, 雄亮, 森, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本エネルギー学会 2018
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ISSN0916-8753
1882-6121
DOI10.3775/jie.97.8

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Summary:木質バイオマス単独の溶媒循環型直接液化プロセスでは,次循溶媒量が確保できないことが問題であった。そこで著者らは,プラスチックとの共液化による溶媒補填および初期溶媒の分解挙動について検討した。木質バイオマスとしてはスギを,プラスチックとしては廃プラスチックを想定して,ポリプロピレン,ポリエチレンおよびポリスチレンを,初期溶媒には鉱油を用いた。スギと各プラスチックの共液化における温度の影響および溶媒循環の可能性について検討を行った結果,以下の事が判明した。400℃より高い温度では試料との相互作用により,鉱油の分解が生起するため,反応温度は400℃以下が望ましい。ポリスチレン以外では,共液化の相互作用によってプラスチックの分解が促進され,溶媒留分収率が増加する。初期溶媒を鉱油とした場合,無極性成分の鉱油の分解が生じたため溶媒留分の確保ひいては溶媒循環が困難であった。初期溶媒中の極性成分割合を最適化することでこれを解決できる可能性がある。
ISSN:0916-8753
1882-6121
DOI:10.3775/jie.97.8