エベロリムスを導入しカルシニューリン阻害薬を中止した腎移植患者の検討

【背景】カルシニューリン阻害薬(CNI)腎毒性に対する治療はCNIの中止(または減量)であるが、抗ドナー特異的抗体(DSA)産生や拒絶反応の危険性がある。【目的】CNI腎毒性に対し、エベロリムス(EVR)を導入し、CNIを安全に中止できたかを評価する。【対象・方法】CNI腎毒性と診断され、DSA陰性で拒絶所見がなく、EVRを導入しCNIを中止した9例を対象とした。移植腎機能・DSAの有無・移植腎生検拒絶所見の有無、最終転帰を評価した。【結果】移植からCNI中止までの中央値は10.1(5.8-17.3)年。CNI中止後のフォローアップ期間は中央値5.1(1.4-9)年。CNI中止前後で移植腎機能...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s292_3
Main Authors 岩原, 直也, 堀田, 記世彦, 広瀬, 貴行, 篠原, 信雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s292_3

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Summary:【背景】カルシニューリン阻害薬(CNI)腎毒性に対する治療はCNIの中止(または減量)であるが、抗ドナー特異的抗体(DSA)産生や拒絶反応の危険性がある。【目的】CNI腎毒性に対し、エベロリムス(EVR)を導入し、CNIを安全に中止できたかを評価する。【対象・方法】CNI腎毒性と診断され、DSA陰性で拒絶所見がなく、EVRを導入しCNIを中止した9例を対象とした。移植腎機能・DSAの有無・移植腎生検拒絶所見の有無、最終転帰を評価した。【結果】移植からCNI中止までの中央値は10.1(5.8-17.3)年。CNI中止後のフォローアップ期間は中央値5.1(1.4-9)年。CNI中止前後で移植腎機能に違いは認めなかった。9例中8例はDSA陰性で拒絶所見はなく、6例は現在まで移植腎生着中、1例が移植腎機能廃絶、1例が病死した。1例はDSA陰性も急性T細胞関連型拒絶所見を認め、EVRを中止しCNI再開となった。【結語】EVR導入により9例中8例でCNIを安全に中止でき、6例が移植腎生着中である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s292_3