CNIの適正使用のためのTDM

CNIはタクロリムス(TAC)とシクロスポリン(CYA)が臨床で使用されているが、腎移植導入時はTACが94%で使用されている。TACは既存のPRGと徐放性製剤(GRC)があるが、導入時はPRGを利用している施設が65.4%と多い。AUTL/AUC%はPRGで70%、GRCで65%程度であり、Ct値の測定が適している。一方、CYAは40%程度であり、ピーク値の寄与度が高いため、C2値やAUC0-4なども測定される。またGRCはCt値の採血時間の違いの影響が最も少ない CNIは夕服用で吸収遅延・吸収低下があり、CYAはTACよりもその影響は大きい。さらに夕服用の吸収低下、吸収遅延に伴うAUCとC...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s174_1
Main Authors 竹内, 裕紀, 尾田, 高志, 河地, 茂行, 岩本, 整
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s174_1

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Summary:CNIはタクロリムス(TAC)とシクロスポリン(CYA)が臨床で使用されているが、腎移植導入時はTACが94%で使用されている。TACは既存のPRGと徐放性製剤(GRC)があるが、導入時はPRGを利用している施設が65.4%と多い。AUTL/AUC%はPRGで70%、GRCで65%程度であり、Ct値の測定が適している。一方、CYAは40%程度であり、ピーク値の寄与度が高いため、C2値やAUC0-4なども測定される。またGRCはCt値の採血時間の違いの影響が最も少ない CNIは夕服用で吸収遅延・吸収低下があり、CYAはTACよりもその影響は大きい。さらに夕服用の吸収低下、吸収遅延に伴うAUCとCt値の逆転現象は血中濃度管理のピットフォールである。GRCの徐放性が何らかの原因で崩れ、高投与量患者でピーク値が高値になり、反対にトラフ値が低下する現象(AUTL/AUC%の減少)が認められる場合があり、注意が必要である。糖尿病腎症の腎移植患者では、糖尿病性胃腸症により、ピークを示さない患者など様々な血中濃度パターンを示すため特に注意をする必要がある。Ct値やC2値だけからはAUCを推定できない患者も存在するため、AUCを実測することは重要であると考える。CNIの経口薬は、血中濃度の変動はバイオアベイラビリティ(吸収過程)の寄与の影響が大きく、そのため服用法を考慮することで血中濃度の安定を期待できる場合がある。。 CNIのTDMに基づく適正使用を実践するために、これらの現象があることを理解した上で、普段のトラフ値の推移からAUCを推定できるようになることが重要である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s174_1