訪問リハビリテーション終了者の追跡調査について

【はじめに】  当院では訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)を開始する際に本人・家族のニーズを基に具体的な目標・期間の設定を行い,目標達成へ向けアプローチを行っている。目標達成により終了とするが,獲得した生活のその後の状態や経過について把握出来ていないことが多い。  そこで今回,訪問リハ終了者の追跡調査を行い,生活の維持・向上における因子について検討したので報告する。 【対象・方法】  H19年1月~H20年2月の間に当院訪問リハ(介護保険)を終了した36名を対象として年齢,介護度,実施期間,終了日からの日数,終了後からの経過について調査,担当ケアマネージャへのアンケートを基に訪問リハ終了時...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2008; p. 61
Main Authors 貞松, 徹, 新垣, 盛宏, 佐藤, 麻美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2008
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2008.0.61.0

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Summary:【はじめに】  当院では訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)を開始する際に本人・家族のニーズを基に具体的な目標・期間の設定を行い,目標達成へ向けアプローチを行っている。目標達成により終了とするが,獲得した生活のその後の状態や経過について把握出来ていないことが多い。  そこで今回,訪問リハ終了者の追跡調査を行い,生活の維持・向上における因子について検討したので報告する。 【対象・方法】  H19年1月~H20年2月の間に当院訪問リハ(介護保険)を終了した36名を対象として年齢,介護度,実施期間,終了日からの日数,終了後からの経過について調査,担当ケアマネージャへのアンケートを基に訪問リハ終了時の生活と比較し向上群(以下A群),維持群(以下B群),低下群(以下C群)の3群に分類し比較・検討行った。統計はKruskal-Wallisの検定を用いた。 【結果】  アンケート回収率94.4%,A群5名,B群18名,C群8名,施設入所・死亡例3名であった。3群を比較すると,上記全ての項目において有意差は認められなかった(p<0.05)。A群のアンケート結果では,要因として家族の協力が得られている(80.0%)が最も多く,次いでサービス調整が適切に行えている(60.0%),家屋調整が適切に行えている(60.0%)という順であった。B群は家屋調整が適切に行えている(55.6%),サービス調整が適切に行えている(50.0%),家族の協力が得られている(38.9%)の順であった。C群では体調不良・病状悪化が最も多く(36.4%),次いで介護力の低下(27.3%),家屋調整が適切でない(18.2%)という結果であった。デイケアやデイサービスなどを利用している割合はA群100%,B群88.9%,C群62.5%であった。 【考察】  結果より,身体機能や能力維持としてサービス利用の重要性が再認識された。それに加え終了後の生活の向上・維持の重要な要因としてA群では家族の協力が挙げられており,家屋調整やサービス調整などのハード面の他に,生活を共にする家族というソフト面への介入が活動範囲の拡大に関与すると考えられた。B群では家屋調整,サービス調整,家族の協力が重要であることが示唆された。C群では体調不良や病状悪化が影響している傾向がみられた。次いで介護力の低下では家族が持つ介助に対する不安や必要性の認識不足より利用者の活動を狭めている例がみられた。介護力の低下する因子で考えられるものとして,利用者自身の問題か家族の問題なのかを明らかにし,それに対する訪問リハの必要性について再度検討していく必要があると考えられる。  今回の調査を通して訪問リハ終了時の生活を維持・向上していくためには,定期的に利用者・家族・環境の再評価を行なっていく必要があると考える。
Bibliography:61
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2008.0.61.0