膵臓移植後グラフト1型糖尿病再発に対する膵島再移植の可能性
背景:膵臓移植後のグラフト1型糖尿病再発(T1DR)は稀であり、その後の再移植を含めた治療についての見解は確立されていない。1型糖尿病(T1DM)に対する膵臓移植後に、T1DRに陥った症例を経験し、さらに膵島移植による再移植にて良好な経過を得た症例を経験したので報告する。症例:50歳代女性、30代でT1DMと診断され、激しい血糖変動と重症低血糖発作を繰り返すため6年前に膵臓単独移植を行った。移植2年後に膵島自己抗体の上昇を伴う急激な血糖値上昇を認め、精査の結果T1DRと診断された。インスリンポンプ療法を再導入するも血糖変動が顕著で移植の適応症例と判断され、現在膵島移植待機中である。50歳代女性...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s310_3 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s310_3 |
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Summary: | 背景:膵臓移植後のグラフト1型糖尿病再発(T1DR)は稀であり、その後の再移植を含めた治療についての見解は確立されていない。1型糖尿病(T1DM)に対する膵臓移植後に、T1DRに陥った症例を経験し、さらに膵島移植による再移植にて良好な経過を得た症例を経験したので報告する。症例:50歳代女性、30代でT1DMと診断され、激しい血糖変動と重症低血糖発作を繰り返すため6年前に膵臓単独移植を行った。移植2年後に膵島自己抗体の上昇を伴う急激な血糖値上昇を認め、精査の結果T1DRと診断された。インスリンポンプ療法を再導入するも血糖変動が顕著で移植の適応症例と判断され、現在膵島移植待機中である。50歳代女性、10代でT1DMと診断され、20代で透析導入、30代で生体腎移植、40代で膵臓移植を受けた。透析離脱、インスリン離脱が得られたが、7年前にT1DRによる膵グラフト機能不全に陥った。一時上昇していた自己抗体は低下したものの、血糖変動が顕著で低血糖発作も伴うため、4年前に膵島移植を実施、3年前に2回目の膵島移植を行った。移植後はHbA1cの低下と低血糖発作からの解放が得られ、膵島グラフトの良好な機能が維持されている。結語:膵臓移植後のT1DRに対して、膵島移植による再移植は良い適応となる可能性がある。1 型糖尿病の自己免疫機序および移植後免疫反応のさらなる解明が望まれる。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s310_3 |