エベロリムスを付加した腎移植後免疫抑制療法の短期成績
【背景】エベロリムス(EVR)が腎移植後免疫抑制療法として2011年12月に保険収載され10年以上が経過した。当科では2017年10月以降、移植後3週間目よりEVLを導入、カルシニューリン阻害剤を半量に減量するレジメンを試み始めた。短期成績について検討した。【対象・方法】2017年10月より2022年4月までに当院で腎移植を施行、1年以上経過観察した18歳以上のレシピエント、60症例(生体52、献腎8例)を対象とし、2023年4月30日時点で当院診療録より評価した。EVRを早期に導入したEVR群(n = 25)と従来の3剤による免疫抑制療法を行った対照群、35例と比較した。【結果】移植後1年以...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s241_2 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s241_2 |
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Summary: | 【背景】エベロリムス(EVR)が腎移植後免疫抑制療法として2011年12月に保険収載され10年以上が経過した。当科では2017年10月以降、移植後3週間目よりEVLを導入、カルシニューリン阻害剤を半量に減量するレジメンを試み始めた。短期成績について検討した。【対象・方法】2017年10月より2022年4月までに当院で腎移植を施行、1年以上経過観察した18歳以上のレシピエント、60症例(生体52、献腎8例)を対象とし、2023年4月30日時点で当院診療録より評価した。EVRを早期に導入したEVR群(n = 25)と従来の3剤による免疫抑制療法を行った対照群、35例と比較した。【結果】移植後1年以内の急性拒絶反応(EVR 12.0% vs 対照群 20.0%, p = 0.377)、サイトメガロウイルス感染の発症率(EVR 4.0% vs 対照群6.7%, p = 0.766)に差はなかったが、移植後1年目の腎機能はEVR群が良好な傾向であった(eGFR (ml/min/1.73 m2):EVL 50.3 ± 11.5 vs 対照群44.1 ± 13.1, p = 0.063)。1年目のプロトコール生検では尿細管萎縮・間質線維化グレード1以上が対照群に多い傾向であった(56.5 vs 72.0% p = 0.263)。【結語】有意差を認めた因子はなかったが、EVR群が対照群より劣る項目も認めなかった。中長期成績の検討が必要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s241_2 |