当院における肺移植医療従事者育成の現状と課題

近年、脳死ドナー数ならびに肺移植実施症例数は着実に増加している。このような現状の中、今後も肺移植医療を継続しておこなうために若手医師の育成は重要な課題である。(1)当科における若手移植外科医の育成の現状、および、(2)外科チームにおける負担の軽減を目指した取り組み、について報告したい。(1)ドナー肺摘出の執刀医育成に関しては、大動物を用いた手術手技シミュレーションやCadaver surgical training (CST)などの機会を当科では積極的に利用している。メディカルコンサルタント業務に従事することで、ドナー肺の評価の経験も積んでいる。また、外科専攻医の段階で肺移植症例の担当を行い、...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s146_2
Main Authors 狩野, 孝, 舟木, 壮一郎, 木村, 亨, 新谷, 康, 福井, 絵里子, 大瀬, 尚子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s146_2

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Summary:近年、脳死ドナー数ならびに肺移植実施症例数は着実に増加している。このような現状の中、今後も肺移植医療を継続しておこなうために若手医師の育成は重要な課題である。(1)当科における若手移植外科医の育成の現状、および、(2)外科チームにおける負担の軽減を目指した取り組み、について報告したい。(1)ドナー肺摘出の執刀医育成に関しては、大動物を用いた手術手技シミュレーションやCadaver surgical training (CST)などの機会を当科では積極的に利用している。メディカルコンサルタント業務に従事することで、ドナー肺の評価の経験も積んでいる。また、外科専攻医の段階で肺移植症例の担当を行い、手術に参加するのみならず術後急性期の人工呼吸管理や免疫抑制薬の管理を経験する体制としている。(2) 多職種での役割分担をすすめることで外科医の負担軽減を目指している。移植後の周術期管理はこれまで通り、呼吸器外科医とICUが主体となって行うが、肺移植後の慢性期感染症およびグラフト機能不全に対する治療は呼吸器内科医に引き継いでいる。肺移植後の複雑な感染症予防は、感染症内科に移植術前から介入してもらうことで、症例ごとに投与薬剤を決定している。ほかにも理学療法部、薬剤部と連携して役割分担をすすめることで、外科医の負担軽減を行い、若手をリクルートしやすい環境整備を目指している。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s146_2