当科における再肺移植の治療成績

【背景】国際心肺移植学会のレジストリーにおいて、移植後の成績は改善傾向にあるが、その改善は急性期に限られ、慢性期の経年変化は数十年前から明らかな改善を認めない。その主原因の一つとして慢性移植肺機能不全が挙げられるが、現状では有効な治療はなく、適応があれば再肺移植が選択肢の一つとなる。当科での再肺移植症例の治療成績について検討した。【方法】当科では累積301例の肺移植を施行(脳死183・生体117・混合1)、8例が再肺移植であった。その成績を後方視的に検討した。【結果】全8例の初回肺移植時の年齢は8-51(中央値29)歳、性別は女6/男2例、ドナーの内訳(初回/再肺移植)は、脳死/脳死1、脳死/...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s223_2
Main Authors 豊, 洋次郎, 中島, 大輔, 大角, 明宏, 伊達, 洋至, 田中, 里奈, 山田, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s223_2

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Summary:【背景】国際心肺移植学会のレジストリーにおいて、移植後の成績は改善傾向にあるが、その改善は急性期に限られ、慢性期の経年変化は数十年前から明らかな改善を認めない。その主原因の一つとして慢性移植肺機能不全が挙げられるが、現状では有効な治療はなく、適応があれば再肺移植が選択肢の一つとなる。当科での再肺移植症例の治療成績について検討した。【方法】当科では累積301例の肺移植を施行(脳死183・生体117・混合1)、8例が再肺移植であった。その成績を後方視的に検討した。【結果】全8例の初回肺移植時の年齢は8-51(中央値29)歳、性別は女6/男2例、ドナーの内訳(初回/再肺移植)は、脳死/脳死1、脳死/生体2、生体/脳死3、生体/生体2であった。再肺移植の原因は、小児の1症例は片側生体肺移植にグラフト肺機能不全となり17日後に対側生体肺移植を行った。以外の7症例はいずれも慢性移植肺機能不全であり、基本的に生体肺移植は両側、脳死肺移植は片側であったが、1例は肺動脈性肺高血圧症に対する片側生体肺移植後のため両側脳死肺移植を行った。初回から再肺移植までの期間は、17-3724(中央値1265)日、再肺移植からの1/3/5年生存率はいずれも72.9%、初回肺移植からの1/3/5年生存率もいずれも87.5%であった。【結論】慢性移植肺機能不全に対する再肺移植の適応は限られるが、再肺移植後の成績は初回肺移植後の成績と遜色なく、初回肺移植からの生存期間の延長に寄与し得る。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s223_2