N-フェニルヒドラジンカルボチオアミド誘導体とテトラブチルアンモニウムイオンを用いる微量マンガンの溶媒抽出-原子吸光分析

マンガンは2-[2-(ヒドロキシイミノ)-1-メチルプロピリデン]-N-フェニルヒドラジンカルボチオアミド(4-phenyl-3-thiosemicarbazone of biacetylmonoxime,PBTOH2)と陰イオン性錯体を形成し,テトラブチルアンモニウムイオン(Bu4N+)共存下イオン対としてメチルイソブチルケトン(MIBK)に抽出される.このことを利用した高感度で選択的なマンガンの原子吸光定量法を確立した.抽出化学種は安定であり,Mn:PBTOH2:Bu4N+=1:2:1の組成を持っていることが分かった.本法によれば,マンガン0~10μgで検量線は直線となり,感度は0.012...

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Published in分析化学 Vol. 28; no. 2; pp. 111 - 115
Main Authors 多賀, 光彦, 吉田, 仁志, 佐藤, 千鶴子, 蟇目, 清一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 1979
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.28.2_111

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Summary:マンガンは2-[2-(ヒドロキシイミノ)-1-メチルプロピリデン]-N-フェニルヒドラジンカルボチオアミド(4-phenyl-3-thiosemicarbazone of biacetylmonoxime,PBTOH2)と陰イオン性錯体を形成し,テトラブチルアンモニウムイオン(Bu4N+)共存下イオン対としてメチルイソブチルケトン(MIBK)に抽出される.このことを利用した高感度で選択的なマンガンの原子吸光定量法を確立した.抽出化学種は安定であり,Mn:PBTOH2:Bu4N+=1:2:1の組成を持っていることが分かった.本法によれば,マンガン0~10μgで検量線は直線となり,感度は0.012μg cm-3(有機相,1%吸収)であった.マンガン5.0μgの16回繰り返し測定による相対標準偏差は1.54%であった.銅,ニッケルは微量の共存で負の干渉を示すが,クエン酸イオンあるいはシアン化物イオンの添加で除去できる.本法を鉄鋼試料及び水道水に応用した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.28.2_111