重症移植心冠動脈病変の進展様式

【背景】移植心冠動脈病変(CAV)は、移植後慢性期の主要な死因となり、国際心肺移植学会(ISHLT)におけるレジストリーでは、移植後10年で50%にCAVを認めるが重症CAVの進展様式は明らかでない。【方法】移植後3年以上経過した40例を後ろ向きに検討した。CAVの定義は冠動脈造影による2010年のISHLT分類に従い、重症CAVはISHLT CAV3と定義、急速進行性CAVは1年以内に30%以内から70%以上への狭窄の進行と定義した。【結果】移植時平均年齢25.8±18.0歳、移植後平均観察期間13.6±7.8年であった。移植後経過観察中に12例がCAVの有意な進行(ISHLT CAV2以上...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s219_1
Main Authors 野本, 美知留, 市原, 有紀, 菊池, 規子, 新浪, 博士, 服部, 英敏, 斎藤, 聡, 布田, 伸一, 飯塚, 慶, 山口, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s219_1

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Summary:【背景】移植心冠動脈病変(CAV)は、移植後慢性期の主要な死因となり、国際心肺移植学会(ISHLT)におけるレジストリーでは、移植後10年で50%にCAVを認めるが重症CAVの進展様式は明らかでない。【方法】移植後3年以上経過した40例を後ろ向きに検討した。CAVの定義は冠動脈造影による2010年のISHLT分類に従い、重症CAVはISHLT CAV3と定義、急速進行性CAVは1年以内に30%以内から70%以上への狭窄の進行と定義した。【結果】移植時平均年齢25.8±18.0歳、移植後平均観察期間13.6±7.8年であった。移植後経過観察中に12例がCAVの有意な進行(ISHLT CAV2以上)を認め、重症CAVは7例に認めた。7例は移植後から9年(IQR 5.5-11)でCAV2以上に進行した。重症CAV全例で急速進行性CAVの定義を満たした。6例が持続する抗HLA抗体陽性の定義を満たし、かつ3回以上連続して抗HLA抗体陽性であった。【結語】抗HLA抗体陽性を長期かつ持続して認めることにより、CAVがより急速に進展していく可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s219_1