ABO適合腎移植における低用量リツキシマブ投与症例の検討

【はじめに】リツキシマブによる脱感作療法が導入され、ABO不適合腎移植(ABOi)の成績は飛躍的に向上した。ABOcの成績は良好であるが、しばしば急性拒絶反応を起こす症例を認める。当科では2015年以降に一部のABOc症例に対して低用量のリツキシマブ(100mg×1)を投与した。今回、ABOcでのリツキシマブ非投与例との成績を比較検討した。【方法】2015年から2022年のABOc症例139症例のうち、血漿交換を行わなかった117症例をリツキシマブ非投与群(105)と投与群(12)の2群にわけて、患者背景、拒絶反応、感染症、 移植腎生着、患者生存を検討した。【結果】リツキサン100mgの投与は...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s240_1
Main Authors 石井, 保夫, 横山, 卓剛, 三木, 克幸, 田中, 希穂, 神家満, 学, 中村, 有紀, 福田, ミルザト
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s240_1

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Summary:【はじめに】リツキシマブによる脱感作療法が導入され、ABO不適合腎移植(ABOi)の成績は飛躍的に向上した。ABOcの成績は良好であるが、しばしば急性拒絶反応を起こす症例を認める。当科では2015年以降に一部のABOc症例に対して低用量のリツキシマブ(100mg×1)を投与した。今回、ABOcでのリツキシマブ非投与例との成績を比較検討した。【方法】2015年から2022年のABOc症例139症例のうち、血漿交換を行わなかった117症例をリツキシマブ非投与群(105)と投与群(12)の2群にわけて、患者背景、拒絶反応、感染症、 移植腎生着、患者生存を検討した。【結果】リツキサン100mgの投与は、一部の非血縁・DSA(-)、DSA(+)・MFI低値の症例に対して行った。急性拒絶反応はリツキサン非投与群にのみに認められた(4.7%[5/105] vs 0.0% [0/12], P = 0.048)。リツキサン投与群は生着率が100%であった。【結論】ABOc症例での低用量リツキサン投与は、非血縁・DSA(-)症例では急性拒絶を抑制した。また、DSA(+)・MFI低値の症例においては血漿交換を回避することにより術後の出血や感染のリスクも減少させた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s240_1