ピッグを用いた子宮移植研究:ロボット支援ピッグドナー子宮全摘出術の試み
【目的】子宮性不妊の女性にとって子宮移植は新たな生殖補助医療技術として期待されているが、生体ドナーへの手術侵襲が大きく、標準術式やプロトコールは確立されていない。今回我々は、ヒトへの適応の前段階として、手術支援ロボットを用い、ピッグ子宮移植ドナーモデルの確立を試みた。【方法】年齢5歳5か月、体重39kgの出産歴のあるピッグに対し、手術支援ロボットを用い、ドナー子宮全摘出術を行った。子宮動脈は内腸骨動脈グラフトごと摘出、子宮動脈膀胱枝は分岐部で切断、卵巣静脈は下大静脈の流入部で切断、子宮静脈を確保する予定とした。血管処理は子宮動脈、卵巣静脈の順に切断した。ヒトでは経腟的に子宮を回収するが、ピッグ...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s311_1 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s311_1 |
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Summary: | 【目的】子宮性不妊の女性にとって子宮移植は新たな生殖補助医療技術として期待されているが、生体ドナーへの手術侵襲が大きく、標準術式やプロトコールは確立されていない。今回我々は、ヒトへの適応の前段階として、手術支援ロボットを用い、ピッグ子宮移植ドナーモデルの確立を試みた。【方法】年齢5歳5か月、体重39kgの出産歴のあるピッグに対し、手術支援ロボットを用い、ドナー子宮全摘出術を行った。子宮動脈は内腸骨動脈グラフトごと摘出、子宮動脈膀胱枝は分岐部で切断、卵巣静脈は下大静脈の流入部で切断、子宮静脈を確保する予定とした。血管処理は子宮動脈、卵巣静脈の順に切断した。ヒトでは経腟的に子宮を回収するが、ピッグでは困難であるため、安楽殺後に開腹で子宮を摘出し、灌流可能かを確認した。【成績】子宮動脈切離部以外は予定通り終了した。子宮動脈は両側とも内腸骨動脈の分岐部で切断した。左側は子宮静脈、卵巣動脈の剥離を行った。全身ヘパリン化の後、血管遮断10分後に安楽死を確認、12分後に子宮グラフトを摘出、15分後にヘパリン加生食を用い子宮動脈から灌流を開始した。灌流開始後10分で子宮全体が白色に変化したことを確認し実験終了とした。総手術時間4時間12分、コンソール時間3時間45分、温阻血時間15分、グラフト重量331g。【結論】一例報告であるが、手術支援ロボットでのピッグドナー子宮全摘は可能であり、子宮グラフトは良好に灌流可能であった。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s311_1 |