脳死肝移植・肝グラフト採取術手技習得におけるCadaver Surgical Trainingの有用性
日本臓器移植ネットワークからの報告では脳死下臓器提供数は2020年69件、2021年66件、2022年93件で、各施設単位での脳死肝移植・肝グラフト採取症例数は年間数例に留まっている。脳死肝移植・肝グラフト採取術は少人数でチーム構成され、タイムスケジュールが定められていることなどから若手外科医がon the jobで教育を受けることが困難である。手術手技トレーニングには動物の生体を用いるTraining in animal laboratoryと、献体を用いるCadaver Surgical Training (CST)がある。海外では医療安全の見地からCSTが広く行われている。本邦でも201...
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| Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s279_3 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s279_3 |
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| Summary: | 日本臓器移植ネットワークからの報告では脳死下臓器提供数は2020年69件、2021年66件、2022年93件で、各施設単位での脳死肝移植・肝グラフト採取症例数は年間数例に留まっている。脳死肝移植・肝グラフト採取術は少人数でチーム構成され、タイムスケジュールが定められていることなどから若手外科医がon the jobで教育を受けることが困難である。手術手技トレーニングには動物の生体を用いるTraining in animal laboratoryと、献体を用いるCadaver Surgical Training (CST)がある。海外では医療安全の見地からCSTが広く行われている。本邦でも2012年に「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」が公開され、神戸大学でも2019年よりCST実施機関として神戸大学医学部附属神戸臨床解剖トレーニングセンターが開設された。2021年からCSTプログラムに肝グラフト摘出シミュレーションを組み入れ施行している。本年までに3名の若手外科医が実際の手術感覚に近い形で、大血管確保・大血管への潅流用チューブ挿入・肝摘出のシミュレーションを完遂した。現在、トレーニングを終了した1名の外科医が実際の脳死肝グラフト採取術の術者として執刀している。さらにシミュレーションの動画を撮影する事で、手技の共有・教育が可能となった。当科におけるCSTの現状および手術動画を供覧し、脳死肝移植・肝グラフト採取術のOff the job trainingとしての有用性について報告する。 |
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| ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s279_3 |