国内における再肝移植の現状

背景;2014年までに国内で実施された281の肝移植症例を対象に検討した結果、成人再移植の成績と初回移植後1年以内に再移植を実施した症例の生存率は有意に悪かった。この結果を踏まえ、現在脳死肝移植レシピエント選択基準では、移植後1年以内の再移植症例の登録は認められていない。方法;2015年1月1日から2021年12月31日までに実施された115例の再肝移植症例を対象に検討を行なった。結果;全肝移植実施数に占める再肝移植の割合は18.3%(2018年)~33.3%(2016年)であった。生体肝移植は59例(51.3%)、脳死肝移植は56例(48.7%)で、18歳未満の小児は34例(29.6%)であ...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s179_1
Main Authors 大段, 秀樹, 蔵満, 薫, 江口, 晋, 梅下, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s179_1

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Summary:背景;2014年までに国内で実施された281の肝移植症例を対象に検討した結果、成人再移植の成績と初回移植後1年以内に再移植を実施した症例の生存率は有意に悪かった。この結果を踏まえ、現在脳死肝移植レシピエント選択基準では、移植後1年以内の再移植症例の登録は認められていない。方法;2015年1月1日から2021年12月31日までに実施された115例の再肝移植症例を対象に検討を行なった。結果;全肝移植実施数に占める再肝移植の割合は18.3%(2018年)~33.3%(2016年)であった。生体肝移植は59例(51.3%)、脳死肝移植は56例(48.7%)で、18歳未満の小児は34例(29.6%)であった。再移植までの平均日数は3,203±2,815日であり、再移植時の平均年齢は29±19歳であった。再移植後の生存率は1年72.0%、3年69.0%、5年65.8%であり、生体と脳死肝移植、成人・小児別でも生存率に有意差は認められなかった。初回移植後1年以降に移植をした88例の1/3/5年生存率は79.2/77.8/73.3%であったのに対し、1年以内に移植をした27例の生存率は50.0/42.3/42.3%と有意に悪かった(P=0.0009)。考察;今回の検討の結果、脳死肝移植が再肝移植として実施される割合が増加し、再移植後の生存率は向上したが、成人・小児による生存率の差は消失し、初回移植後1年以内の再移植生存率は悪かった。今後は追加情報を収集した上で、予後に影響を及ぼす因子について検討する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s179_1