単施設入院患者における臓器提供に関する説明希望と院内ドナーコーディネーターによる対応の実際

【目的】 A病院は「入院のための情報提供用紙」設問項目に「臓器提供について専門職員からの説明希望の有無」を設け、関心を示す患者への対応を行っている。今回、その結果を解析し普及啓発の在り方も含め検討を行った。【方法】対象は、移植医療支援室が入院部署より専門職員からの説明希望有の連絡を受け面談を実施した患者。期間は1年間。患者背景や、どのような情報を知りたい希望であったか、その対応などを後方視的に分析した。【結果】87症例。男女比5.5:4.5、最も多い年代50才代。面談は平均29.3分。臓器提供の意思表示済31%、説明希望のきっかけは「以前からの関心(社会貢献)」75%、「自身の適応確認」41%...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s285_2
Main Authors 片岡, 祐一, 坂下, 智珠子, 中島, 節子, 石井, 大輔, 井上, 玄, 北島, 和樹, 中山, 晶子, 関, 一馬, 井村, 夕姫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s285_2

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Summary:【目的】 A病院は「入院のための情報提供用紙」設問項目に「臓器提供について専門職員からの説明希望の有無」を設け、関心を示す患者への対応を行っている。今回、その結果を解析し普及啓発の在り方も含め検討を行った。【方法】対象は、移植医療支援室が入院部署より専門職員からの説明希望有の連絡を受け面談を実施した患者。期間は1年間。患者背景や、どのような情報を知りたい希望であったか、その対応などを後方視的に分析した。【結果】87症例。男女比5.5:4.5、最も多い年代50才代。面談は平均29.3分。臓器提供の意思表示済31%、説明希望のきっかけは「以前からの関心(社会貢献)」75%、「自身の適応確認」41%、「説明を受けられる機会があると知って」38%。面談後の反応は「知りたい情報を得られた」94%、意思表示をしていない患者の内75%が意思表示を行う意向を示した。家族と今後、臓器提供について話し合う意向を示した患者は83%であった。【考察】社会貢献等を理由に潜在的に臓器提供に関心を持つ患者がいて、機会があれば情報確認のニーズがあることがわかった。平時の生活では臓器提供の情報を得る機会が乏しいと言えるが、目の前に機会が設けられることは関心を高め、確認行動につながることが示唆された。院内で取り組みを実施し続ける意義を再確認し、院外においても同様の機会を設けていく必要性が感じられた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s285_2