当科における生体腎移植ドナー適正の検証

【目的】当科では生体腎移植ドナーの評価に簡易法によるイヌリンクリアランス(Cin)を測定している。ドナーおよびレシピエントの術後腎機能から、ドナー適正の検証を行った。【方法】2016年4月から2022年9月に施行した生体腎移植42件を対象とし、ドナーは術後1、3、12ヶ月後、レシピエントは術後1、3、6、12ヶ月後のeGFRを後方視的に検討した。【結果】ドナー、レシピエントはそれぞれ女性が29例(70.7%)、16例(39.0%)、年齢の平均は60.6歳、50.9歳であった。ドナーの術前Cinの平均は84.5 mL/min/1.73m2で、マージナルドナーは20例(47.6%)であった。ドナー...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s307_3
Main Authors 小笠原, 卓音, 橋本, 浩平, 太刀川, 公人, 小林, 皇, 中山, 奨, 田中, 俊明, 前鼻, 健志, 舛森, 直哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s307_3

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Summary:【目的】当科では生体腎移植ドナーの評価に簡易法によるイヌリンクリアランス(Cin)を測定している。ドナーおよびレシピエントの術後腎機能から、ドナー適正の検証を行った。【方法】2016年4月から2022年9月に施行した生体腎移植42件を対象とし、ドナーは術後1、3、12ヶ月後、レシピエントは術後1、3、6、12ヶ月後のeGFRを後方視的に検討した。【結果】ドナー、レシピエントはそれぞれ女性が29例(70.7%)、16例(39.0%)、年齢の平均は60.6歳、50.9歳であった。ドナーの術前Cinの平均は84.5 mL/min/1.73m2で、マージナルドナーは20例(47.6%)であった。ドナーのeGFRの平均値は術前、術後1、3、12ヶ月で76.2、44.3、44.0、45.9 mL/min/1.73m2であり、レシピエントのeGFRの平均値は術後1、3、6、12ヶ月で43.1、40.1、41.6、40.7 mL/min/1.73m2であった。ドナー、レシピエントともに術後1ヶ月と12ヶ月の腎機能に有意差はなかった。マージナルドナーと標準ドナーのeGFR平均値の推移は術後1、3、12ヶ月で44.5、43.8、44.8および44.1、44.3、47.4 mL/min/1.73m2で、1、3、12ヶ月後の2群間のeGFR値に有意差を認めなかった。【考察】生体腎ドナーの術前腎機能や性別などが末期腎不全に至るリスクとされている。本検討では術後1年という短い観察期間ではあるが、ドナー腎機能の経時的な変化は認めなかった。また、当科では約半数がマージナルドナーだが、標準ドナーと術後の腎機能に差は認めなかった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s307_3