学外実習中の学生ストレスの変化

【はじめに】  学外実習における学生ストレスに関する研究の多くは,学外実習の前後にストレス度を測定しているものが多い.そこで今回は,学外実習に関する教育の基礎資料として,実習期間中の学生ストレスの変化を調査したので報告する. 【対象と方法】  対象は当学院昼夜間部理学療法学科に在籍し,平成17年度に評価実習を行った学生69名(男性50名,女性19名,平均年齢24.9±4.3歳)である.  調査方法はストレス測定にState-Trait Anxiety Inventory(以下STAI)を用いた.STAIは,Spielbergerらによって開発された自記式質問紙で状態および特性不安を測定する尺度...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2006; p. 92
Main Authors 宮崎, 至恵, 森田, 正治, 村上, 茂雄, 坂口, 重樹, 玉利, 誠, 清水, 和代, 高橋, 精一郎, 松崎, 秀隆, 山口, 寿, 田原, 弘幸, 中原, 雅美, 渡利, 一生, 吉本, 龍司, 漆川, 沙弥香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2006
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2006.0.92.0

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Summary:【はじめに】  学外実習における学生ストレスに関する研究の多くは,学外実習の前後にストレス度を測定しているものが多い.そこで今回は,学外実習に関する教育の基礎資料として,実習期間中の学生ストレスの変化を調査したので報告する. 【対象と方法】  対象は当学院昼夜間部理学療法学科に在籍し,平成17年度に評価実習を行った学生69名(男性50名,女性19名,平均年齢24.9±4.3歳)である.  調査方法はストレス測定にState-Trait Anxiety Inventory(以下STAI)を用いた.STAIは,Spielbergerらによって開発された自記式質問紙で状態および特性不安を測定する尺度である.今回は評価実習中の学生ストレスを把握することが目的であるため,水口らにより日本標準化されたSTAI状態・特性不安検査(Form X)の状態不安検査のみを使用した.質問項目は20項目からなり,合計得点が高いほど状態不安が高いことを意味している.  当学院の評価実習は3週間で,実習前後と実習中にSTAIの測定を計5回実施した.1回目は評価実習前のセミナーの中で,2から4回目は評価実習中に1週間経過ごとに,5回目は評価実習終了後のセミナーの中で実施した.2から4回目のSTAIは評価実習中であるため,教員の実習訪問時と郵送にて回収した.統計学的処理には,Friedman検定とWilcoxonの符号付順位検定を用いて検討した. 【結果】  STAI得点は,1回目(実習前)57.1±8.9,2回目(実習開始1週間後)58.3±9.5,3回目(実習開始2週間後)56.1±10.6,4回目(実習開始3週間後)42.1±9.4,5回目(実習後)43.5±7.8であった.計5回のSTAI得点間には有意な差を認めた(p<0.01).1回目(実習前)と比較し,4回目と5回目に有意な差を認めた(p<0.05). 【考察】  STAIの評価段階基準では,男性41点・女性42点以上で状態不安が高いと評価される.大学生を対象とした調査では46.8±8.49と報告されており,これと比べても評価実習前と評価実習中の学生のストレスは高いと考える.今回の結果では評価実習前と評価実習中の学生のストレスは高く持続し,実習終了日以降に低下していた.評価実習は学生にとって初めての本格的な実習であり,実習期間も3週間と短いため,環境の変化や人間関係の構築と実習課題に追われる日々である.そのため,学生は実習前から実習終了まで,ストレスを高く感じ,実習終了後の解放感により急激にストレスが低下していると考える.今後は,総合臨床実習(長期実習)における学生のストレス変化も調査し,特徴を踏まえて,学外実習中の学生に対する適切な指導時期を再検討したいと考える.
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2006.0.92.0