日本の森林セクターにおける炭素フロー

1992年の地球サミットで国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)が署名され,1997年にはフォローアップとして開催された第3回締約国会議(COP3)において京都議定書が採択された。議定書の条項によると,森林に関しては二酸化炭素の排出や吸収を温室効果ガスの増減に含める手法を検討することになっている。本論文では,森林蓄積の推移をたどるとともに,森林セクターを製材,紙・パルプ,合板の3部門に分けて木材のフローを炭素に換算した。定量化は,木くず量の内訳がわかる1979年と1991年とした。森林蓄積は,輸入木材が国内生産の不足分を補ったことと,広葉樹林がより生産性の高い針葉樹林へ転換したことによって大き...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in森林応用研究 Vol. 8; pp. 19 - 26
Main Author 野瀬, 光弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 応用森林学会 1999
The Society of Applied Forest Science
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1342-9493
2189-8294
DOI10.20660/applfor.8.0_19

Cover

More Information
Summary:1992年の地球サミットで国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)が署名され,1997年にはフォローアップとして開催された第3回締約国会議(COP3)において京都議定書が採択された。議定書の条項によると,森林に関しては二酸化炭素の排出や吸収を温室効果ガスの増減に含める手法を検討することになっている。本論文では,森林蓄積の推移をたどるとともに,森林セクターを製材,紙・パルプ,合板の3部門に分けて木材のフローを炭素に換算した。定量化は,木くず量の内訳がわかる1979年と1991年とした。森林蓄積は,輸入木材が国内生産の不足分を補ったことと,広葉樹林がより生産性の高い針葉樹林へ転換したことによって大きくなってきた.製材部門は,住宅への炭素フロー量が増加した一方で木くず量は減少した。合板部門は,国内生産が落ち込んだために木くず量が減少した。紙・パルプ部門は,需給量と連動して古紙と紙ごみの量が増大した。3部門を合計すると,1979年から91年にかけて森林セクターの炭素フロー量全体が増加し,炭素放出量では紙・パルプ部門が約8割を占めるようになった。
ISSN:1342-9493
2189-8294
DOI:10.20660/applfor.8.0_19