生体腎移植術により蛋白漏出性胃腸症のコントロールが可能となった1例
【緒言】蛋白漏出性胃腸症は消化管から管腔内への血漿蛋白の異常な漏出をきたす症候群で、低蛋白血症を主徴とする。原因となる基礎疾患は消化管疾患のみならず心疾患や膠原病などがあり、治療として食事療法、薬物治療が行われる。今回我々は生体腎移植術を契機として蛋白漏出性胃腸症のコントロールが可能となった1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】25歳、女性。【現病歴】IgA腎症を原疾患とする慢性腎不全に対し、25歳時に血液透析を導入された。幼少期から慢性的な嘔気、胃部不快感、腹痛を自覚され、精査したところ腸管リンパ管拡張症を基礎疾患とする蛋白漏出性胃腸症と診断された。治療としてプレドニ...
Saved in:
Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s334_2 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s334_2 |
Cover
Summary: | 【緒言】蛋白漏出性胃腸症は消化管から管腔内への血漿蛋白の異常な漏出をきたす症候群で、低蛋白血症を主徴とする。原因となる基礎疾患は消化管疾患のみならず心疾患や膠原病などがあり、治療として食事療法、薬物治療が行われる。今回我々は生体腎移植術を契機として蛋白漏出性胃腸症のコントロールが可能となった1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】25歳、女性。【現病歴】IgA腎症を原疾患とする慢性腎不全に対し、25歳時に血液透析を導入された。幼少期から慢性的な嘔気、胃部不快感、腹痛を自覚され、精査したところ腸管リンパ管拡張症を基礎疾患とする蛋白漏出性胃腸症と診断された。治療としてプレドニゾロン15mgから内服を開始し12.5mgまで漸減可能であったものの、それ以上の漸減は腹痛など消化器症状の増悪を伴うため困難であった。透析導入10ヶ月後、51歳の母をドナーとする生体腎移植術を施行した。導入免疫抑制剤はタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロンであった。術後経過良好にて第25病日に血清Cre0.74mg/dl、プレドニゾロン12.5mg内服で退院となった。退院後9ヶ月経過しているが現在プレドニゾロンは6mgまで減量可能となっており、腹痛や下痢など消化器症状の増悪なく経過している。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s334_2 |