木材消費パターンの分類と炭素放出量の推計

1997年に採択された京都議定書の条項には,植林による蓄積の増加分を部分的に炭素吸収と定める一方で,木材製品起源の炭素放出を数値目標に組み込むかどうかの議論も進んでいる。既存の炭素放出の推計には,伐採木材の加工・消費・廃棄プロセスに焦点を当てた手法が提案されている。木材起源の炭素放出量は,温室効果ガスの削減目標に組み込まれる可能性があるので,その推計手法は今後重視されてくる。本論文では,木材消費のカテゴリーを,薪炭,その他産業用丸太,製材,木質パネル,紙・板紙の5つに分けて国ごとに炭素量を計算した。データは,FAOのホームページから入手し,基準年は1990年とした。木材消費パターンは,商品木材...

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Published in森林応用研究 Vol. 9; no. 1; pp. 7 - 14
Main Author 野瀬, 光弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 応用森林学会 2000
The Society of Applied Forest Science
Subjects
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ISSN1342-9493
2189-8294
DOI10.20660/applfor.9.1_7

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Summary:1997年に採択された京都議定書の条項には,植林による蓄積の増加分を部分的に炭素吸収と定める一方で,木材製品起源の炭素放出を数値目標に組み込むかどうかの議論も進んでいる。既存の炭素放出の推計には,伐採木材の加工・消費・廃棄プロセスに焦点を当てた手法が提案されている。木材起源の炭素放出量は,温室効果ガスの削減目標に組み込まれる可能性があるので,その推計手法は今後重視されてくる。本論文では,木材消費のカテゴリーを,薪炭,その他産業用丸太,製材,木質パネル,紙・板紙の5つに分けて国ごとに炭素量を計算した。データは,FAOのホームページから入手し,基準年は1990年とした。木材消費パターンは,商品木材を炭素量単位に換算してから比率を求め,クラスター分析(ウォード法)によって国ごとに分類した。その結果,薪炭の比率の違いによって大きく4つのグループに分けられることが判明した。各グループの代表的な国に大気フロー法を適用した炭素放出量を計算したところ,薪炭の比率が多い国では木材消費パターンの違いが結果にある程度反映された。薪炭以外の商品木材消費量が多い国は,木質廃棄物の処理データの充実が求められる。
ISSN:1342-9493
2189-8294
DOI:10.20660/applfor.9.1_7