巣状分節性糸球体硬化症の小児腎移植患者における臨床病理学的評価に基づく遺伝子解析の検討
背景:小児巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の20-30%が単一遺伝子異常を原因とすることが報告されているが、どのような患者が遺伝子異常を有する可能性が高いかについての検討は乏しい。方法:1999~2019年に当科で腎移植を施行された小児FSGS患者を対象とした。低形成腎などのsecondary FSGSを除外し、familial/syndromic、presumed primary、undetermined FSGSの3群に分けて解析した。Presumed primary FSGSは1)ネフローゼ症候群、2)初期ステロイド治療またはその後の免疫抑制治療で完全寛解または部分寛解を達成した、3)...
Saved in:
Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s375_1 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s375_1 |
Cover
Summary: | 背景:小児巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の20-30%が単一遺伝子異常を原因とすることが報告されているが、どのような患者が遺伝子異常を有する可能性が高いかについての検討は乏しい。方法:1999~2019年に当科で腎移植を施行された小児FSGS患者を対象とした。低形成腎などのsecondary FSGSを除外し、familial/syndromic、presumed primary、undetermined FSGSの3群に分けて解析した。Presumed primary FSGSは1)ネフローゼ症候群、2)初期ステロイド治療またはその後の免疫抑制治療で完全寛解または部分寛解を達成した、3)びまん性の足突起消失の3項目全てを満たす例とし、いずれか1つでも満たさない例をundetermined FSGSとした。全例で次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を施行した。結果:23家系24例が解析対象となった。Familial/syndromic FSGS 4家系の全例(100%)およびundetermined FSGS 11家系中10家系(91%)でFSGS関連遺伝子の病的バリアントを認めた。一方、presumed primary FSGSの8家系では単一遺伝子異常を認めなかった。結論:ネフローゼ症候群、治療反応性、びまん性の足突起消失といった臨床病理学的所見による層別化はFSGSの移植患者の単一遺伝子異常を有する可能性を予測するうえで有用と考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s375_1 |