肝小腸移植における同一ドナーからの2臓器同時移植の有効性について
[緒言] 昨年我々は、腸管不全関連肝障害(IFALD)を伴う小腸機能不全に対して、同一ドナーからの2臓器提供による肝小腸同時移植を行った。今回本症例を含めた当科における肝小腸移植4例の経過を提示し、その有効性を報告する。[症例1] 1歳女児。父親及び伯母からの肝小腸同時生体移植を施行。術後急性拒絶の加療中にPTLD(DLBCL)を発症し術後2ヶ月にて死亡。[症例2] 18歳男性。 17歳時に肝移植、9か月後に脳死小腸移植を施行するも栄養吸収不良からIFALDが再発し、小腸移植後21カ月目に脳死肝再移植となる。その後も脂肪性肝炎が継続し、小腸移植後5年8カ月後に肝腎不全にて死亡。[症例3]1歳女...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s206_1 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s206_1 |
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Summary: | [緒言] 昨年我々は、腸管不全関連肝障害(IFALD)を伴う小腸機能不全に対して、同一ドナーからの2臓器提供による肝小腸同時移植を行った。今回本症例を含めた当科における肝小腸移植4例の経過を提示し、その有効性を報告する。[症例1] 1歳女児。父親及び伯母からの肝小腸同時生体移植を施行。術後急性拒絶の加療中にPTLD(DLBCL)を発症し術後2ヶ月にて死亡。[症例2] 18歳男性。 17歳時に肝移植、9か月後に脳死小腸移植を施行するも栄養吸収不良からIFALDが再発し、小腸移植後21カ月目に脳死肝再移植となる。その後も脂肪性肝炎が継続し、小腸移植後5年8カ月後に肝腎不全にて死亡。[症例3]1歳女児。生後7ヶ月時に肝移植を施行し、1歳4か月時に脳死小腸移植を施行。術後3ヶ月時移植腸管を中心にPTLD(DLBCL)を発症し、グラフト摘出術を施行。IFALD再発の状態にある。[症例4] 2歳女児。ヒルシュスプルング病類縁疾患によるIFALDに対して同一脳死ドナーからの肝小腸同時移植施行。術後急性拒絶。術後5ヶ月にEBV陽性粘膜潰瘍を発症するもリツキサン療法にて寛解。[考察]同一ドナーからの肝小腸同時移植を受けた患児の経過は良好であり、本法はIFALDに対する根本的治療法となる事が期待される。しかしながら、脳死肝小腸移植は、肝腎移植や膵腎移植のように2臓器が優先的に使用できるシステムかないため、本邦では積極的な治療選択肢になり得ない事が問題である。今後の環境整備が望まれる。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s206_1 |