肝静脈狭窄によるout-flow block、十二指腸憩室穿孔により度重なる腹腔内出血と大量腹水に苦悩した生体肝移植の1例
【緒言】生体肝移植術後急性期に肝静脈狭窄によるout-flow blockに加え十二指腸憩室穿孔を来し繰り返す腹腔内出血に対し集学的治療で救命した1例を、術後経過を中心に共有する。【症例】50歳代男性。アルコール性肝硬変(MELD 22点)に対し妻をdonorとする生体肝移植を施行(右葉graft、GW/RBW 0.87%, 手術時間約7時間、出血5430ml)。術中トラブルなく手術終了。【術後経過】術後肝機能は良好に推移も術後1週間のCTで十二指腸傍乳頭憩室の穿通所見を認め絶食胃管減圧加療、加えてRHV狭窄あり、IVR下ステント拡張を予定していた。POD10に腹腔内出血で再手術、鬱血肝に伴う...
Saved in:
| Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s265_1 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s265_1 |
Cover
| Summary: | 【緒言】生体肝移植術後急性期に肝静脈狭窄によるout-flow blockに加え十二指腸憩室穿孔を来し繰り返す腹腔内出血に対し集学的治療で救命した1例を、術後経過を中心に共有する。【症例】50歳代男性。アルコール性肝硬変(MELD 22点)に対し妻をdonorとする生体肝移植を施行(右葉graft、GW/RBW 0.87%, 手術時間約7時間、出血5430ml)。術中トラブルなく手術終了。【術後経過】術後肝機能は良好に推移も術後1週間のCTで十二指腸傍乳頭憩室の穿通所見を認め絶食胃管減圧加療、加えてRHV狭窄あり、IVR下ステント拡張を予定していた。POD10に腹腔内出血で再手術、鬱血肝に伴う門脈圧亢進を背景に憩室穿通部位周囲の出血であった(出血4250ml)。バイタル不安定のためドレン留置し速やかに閉腹、肝静脈に対する介入は不可であった。POD12に再出血で再開腹を要した。穿孔部位に大網充填術を施行、更に手術室で開腹のままRHVのバルン拡張を施行した。その後も断続的な出血と腹水過多状態が続いた。POD16にRHVに金属ステント留置、その後憩室に関連する腹腔内出血に対し緊急IVR下に膵頭部動脈枝のコイリングを2度要した。経管栄養とドレナージ加療を続け憩室穿孔部は自然閉鎖、腹水も緩徐に減少しPOD70にICU退室、現在術後3ヶ月が経過、経口摂取開始し立位保持が可能な状況までに回復を遂げられた。【結語】多科多職種の献身的支援により救命し得たが二度と経験したくない1例である。 |
|---|---|
| ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s265_1 |