急性腎盂腎炎を繰り返す移植腎VURに対して内視鏡下逆流防止術が有効であった1例

【症例】35歳女性【現病歴】33歳時、IgA腎症を原疾患とした末期腎不全に対して、実母をドナーとした生体腎移植が施行された。術後1年1か月経過した時点で、移植腎に発生した有熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎)に罹患し、抗生剤投与にて軽快した。その後も急性腎盂腎炎を繰り返すため、膀胱造影を行ったところ、移植腎側に膀胱尿管逆流(VUR)を認めた。加療方針を提示したところ、内視鏡下逆流防止術を希望され、術後2年6か月目に加療目的に当科入院となった。【内視鏡下逆流防止術】腰椎麻酔下に膀胱鏡を挿入し、膀胱前壁やや右寄りに移植尿管口を確認した。移植尿管口はやや開大していた。尿管ステントを挿入し、金属穿刺針を使用...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s392_2
Main Authors 松尾, 朋博, 松田, 剛, 光成, 健輔, 河田, 賢, 中西, 裕美, 宮田, 康好, 望月, 保志, 大庭, 康司郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s392_2

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Summary:【症例】35歳女性【現病歴】33歳時、IgA腎症を原疾患とした末期腎不全に対して、実母をドナーとした生体腎移植が施行された。術後1年1か月経過した時点で、移植腎に発生した有熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎)に罹患し、抗生剤投与にて軽快した。その後も急性腎盂腎炎を繰り返すため、膀胱造影を行ったところ、移植腎側に膀胱尿管逆流(VUR)を認めた。加療方針を提示したところ、内視鏡下逆流防止術を希望され、術後2年6か月目に加療目的に当科入院となった。【内視鏡下逆流防止術】腰椎麻酔下に膀胱鏡を挿入し、膀胱前壁やや右寄りに移植尿管口を確認した。移植尿管口はやや開大していた。尿管ステントを挿入し、金属穿刺針を使用した薬剤注入が容易になるように、移植尿管口および尿管の下端の位置を調整した。その後、ヒアルロン酸ナトリウム/デキストラマー(Deflux®)を、double HIT法に准じて移植尿管口に注入した。【その後の経過】大きな合併症はなく、術後2日目に退院となった。内視鏡下逆流防止術5か月後の膀胱造影ではVURは消失していた。術後2年4か月経過時点では急性腎盂腎炎の再発は認めていない。【結論】急性腎盂腎炎を繰り返す移植腎VURに対して内視鏡下逆流防止術が有効であった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s392_2