当院における悪性腫瘍既往を有する腎移植患者の予後調査
【目的】今回我々は、悪性腫瘍の既往がある腎移植患者の予後調査を行った。【方法】1998年から2023年までに当院で腎移植を行った271例中、悪性腫瘍の既往がある11例について、後方視的検討を行った。結果は中央値(範囲)で示す。【結果】症例は、男女比6 : 5、年齢は50歳(23~73歳)であった。癌種は甲状腺乳頭癌4例(Stage I 3例、Stage II 1例)、大腸癌3例(Stage I 2例、Stage III 1例)、腎細胞癌3例(全例Stage I)、前立腺癌1例(Stage B)、骨肉腫1例(Stage II)で、全例で根治術が施行され、骨肉腫症例は化学療法が施行されていた。ガイ...
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| Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s331_3 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s331_3 |
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| Summary: | 【目的】今回我々は、悪性腫瘍の既往がある腎移植患者の予後調査を行った。【方法】1998年から2023年までに当院で腎移植を行った271例中、悪性腫瘍の既往がある11例について、後方視的検討を行った。結果は中央値(範囲)で示す。【結果】症例は、男女比6 : 5、年齢は50歳(23~73歳)であった。癌種は甲状腺乳頭癌4例(Stage I 3例、Stage II 1例)、大腸癌3例(Stage I 2例、Stage III 1例)、腎細胞癌3例(全例Stage I)、前立腺癌1例(Stage B)、骨肉腫1例(Stage II)で、全例で根治術が施行され、骨肉腫症例は化学療法が施行されていた。ガイドラインに準拠し、移植までの経過観察期間は、21ヶ月(0~135ヶ月)、移植後からの経過観察期間は29.5ヶ月(3~146ヶ月)であった。8例はStage Iで、全例再発を認めなかった。甲状腺乳頭癌Stage IIの症例は、移植後5年で再発を認めた。 新規悪性腫瘍は、前立腺癌と大腸癌Stage Iの既往を有する2例で発症し、膵体部癌と乳癌であった。癌関連死は膵体部癌の1例であった。 【結論】Stage II以上の症例に対しては、移植前のみならず移植後も注意深い経過観察が必要だと思われた。また、早期癌の既往であっても、移植後に新規悪性腫瘍を発症することもあるため、悪性腫瘍スクリーニング検査を継続して実施することが非常に重要である。 |
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| ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s331_3 |