USNを合併したリーチ時の重心動揺の特徴

【はじめに】  日常、脳卒中片麻痺患者において左右に問わず半側空間無視を合併することが多い(以下USN症例とする)USN症例は特徴的な姿勢をとり、合目的的な動作遂行が困難である。また、非麻痺側上肢は姿勢の保持のために用いられ、その使用を制限する。  今回、左右USN患者に対し、重心動揺計を用いて非麻痺側上肢リーチの重心移動の軌跡について健常人との比較を行い、いくつかの知見を得たのでここに報告する。 【対象と方法】  端座位保持可能な左右USN症例に対し、端座位にて非麻痺側及び麻痺側方向への重心の軌跡をリーチ動作をもちいて検討した。使用機器にはZbris PDM-Sを用い、方法として端座位にて股...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2009; p. 66
Main Authors 岡野, レイ子, 大江, 豊, 伊達, 智美, 堀口, 怜子, 畠野, 真悟, 橋口, 大毅, 有村, 昌子, 村田, 明俊, 菊永, かなえ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2009
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2009.0.66.0

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Summary:【はじめに】  日常、脳卒中片麻痺患者において左右に問わず半側空間無視を合併することが多い(以下USN症例とする)USN症例は特徴的な姿勢をとり、合目的的な動作遂行が困難である。また、非麻痺側上肢は姿勢の保持のために用いられ、その使用を制限する。  今回、左右USN患者に対し、重心動揺計を用いて非麻痺側上肢リーチの重心移動の軌跡について健常人との比較を行い、いくつかの知見を得たのでここに報告する。 【対象と方法】  端座位保持可能な左右USN症例に対し、端座位にて非麻痺側及び麻痺側方向への重心の軌跡をリーチ動作をもちいて検討した。使用機器にはZbris PDM-Sを用い、方法として端座位にて股関節・膝関節・足関節を90°(90-90-90position)とし、大腿部における荷重の影響を統一するため座面全端が大腿骨長中心点となるように設定した。リーチ動作においては剣状突起下端の高さ、体幹前面部より20cm前方にテーブルを設置し、矢状面より左右30°(右A点 左B点)でのA・B間のリーチ時の重心移動の軌跡を計測し、左右片麻痺患者との比較および健常人との比較を行った。 【結果】  左片麻痺患者と健常人では、McocxおよびSPLに優位差が認められた。また、リーチ動作時左片麻痺患者については非麻痺側へ優位に移動距離が長くなり、右片麻痺患者については、麻痺側より非麻痺側へ優位に移動距離が長くなる傾向が認められた。 【考察】  右大脳半球の機能として,(1)視空間情報の処理時、認知的課題時に優位に活動。(2)空間知覚に直接関わり、視覚誘導性の追跡課題や物体へのリーチ動作に関与。(3)触覚入力に対しても正合性が高い。 左大脳半球の機能として、(1)失行などの時間的に順序だった連続的な課題を行う上で活動。(2)触覚入力あるが、右半球に対して正合性が低いというような違いがあり、右半球がリーチ動作時や重心移動に必要な空間と身体の関係づけや感覚処理において優位に働いているためではないかと考えられる。
Bibliography:066
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2009.0.66.0