少量リツキシマブが腎移植患者におけるSARS-CoV-2 mRNAワクチンによる免疫応答に及ぼす影響

• Published in: Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s355_2
• Main Authors: 高井, 諭, 櫻井, 俊彦, 加藤, 智幸, 土谷, 順彦, 伊藤, 裕美, 縄野, 貴明, 八木, 真由, 内藤, 整, 森兼, 啓太, 西田, 隼人, 福原, 宏樹, 山岸, 敦史, 菅野, 秀典, 成澤, 貴史
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本移植学会 2022; The Japan Society for Transplantation
• ISSN: 0578-7947; 2188-0034
• DOI: 10.11386/jst.57.Supplement_s355_2

【目的】腎移植レシピエント(KTR)におけるSARS-CoV-2 mRNAワクチンの免疫応答に少量リツキシマブ(RIT)が及ぼす影響について検討した。【対象と方法】SARS-CoV-2 mRNAワクチン2回接種を完了した腎移植患者58例と健常者10例を対象とした。ワクチン2回接種後の抗SARS-CoV-2抗体価とenzyme-linked immunospot assay(ELISpot)活性を測定し、健常者とKTRとで比較検討するとともに、RIT投与の有無による相違についても検討した。【結果】58例中22例がRIT投与歴を有していた。ワクチン接種後、対照群では全例抗SARS-CoV-2抗体が陽性化したが、KTRでは58例中19例(33％)と低かった(p＜0.001)。抗SARS-CoV-2抗体価もKTRでは対照群より低かった(p＜0.001)。RIT投与の有無による抗体陽転化率(p=0.256)および抗体価(p=0.155)に差は認めなかった。ワクチン2回接種後のELISpot活性は、対照群では全例陽性化したが、KTRでは58例中31例(53％)のみだった(p=0.005)。ELISpot活性の有無(p=0.592)は、RIT投与の有無で差を認めなかった。【結論】SARS-CoV-2 mRNAによる液性および細胞性免疫応答はKTRで低下していたが、RITの影響は認めなかった。