小腸移植待機および検討患者に対しteduglutideを使用した3例の報告

<はじめに>短腸症候群(SBS)に対してteduglutideの使用により残存腸管機能の改善が報告されているが、小腸移植待機患者での使用経験はまだ限られているため、経験症例について報告する。<症例>症例1:新生児期に腹壁破裂、中腸軸捻転を契機に残存10cmの超短腸症候群(USBS)となった。7歳時にteduglutideを導入した。導入後、血清シトルリン(Cit)は正常範囲でやや低下(21.0→19.7nmoml/l)したが、血清アルブミン(2.7→3.5g/dl)やコリンエステラーゼ(155→235U/l)は上昇した。しかし、導入6ヶ月後に中心静脈カテーテル合併症にて死亡した。症例2:0歳時...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s161_1
Main Authors 東堂, まりえ, 出口, 幸一, 松木, 杏子, 高山, 慶太, 野村, 元成, 高瀬, 洪生, 上野, 豪久, 松井, 淳, 渡邊, 美穂, 木村, 武司, 奥山, 宏臣, 田附, 裕子, 神山, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s161_1

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Summary:<はじめに>短腸症候群(SBS)に対してteduglutideの使用により残存腸管機能の改善が報告されているが、小腸移植待機患者での使用経験はまだ限られているため、経験症例について報告する。<症例>症例1:新生児期に腹壁破裂、中腸軸捻転を契機に残存10cmの超短腸症候群(USBS)となった。7歳時にteduglutideを導入した。導入後、血清シトルリン(Cit)は正常範囲でやや低下(21.0→19.7nmoml/l)したが、血清アルブミン(2.7→3.5g/dl)やコリンエステラーゼ(155→235U/l)は上昇した。しかし、導入6ヶ月後に中心静脈カテーテル合併症にて死亡した。症例2:0歳時に絞扼性イレウスを契機に残存5cmのUSBSとなった。2歳時にteduglutideを導入した。導入後6ヶ月の時点で、Citはtrivial→14.0nmol/lまで改善したが、1年6ヶ月後では10.9nmol/lと低下した。肝線維化マーカーであるM2BPGiは6ヶ月で1.31→1.04と低下したが、1年6ヶ月後では1.69と上昇した。現在も経静脈栄養に依存し小腸移植待機を継続している。症例3:0歳時に中腸軸捻転を契機にSBSに至り、10歳時に腸管内瘻孔を切除し残存72cmとなった。移植登録を検討しつつ15歳時にteduglutideを導入した。導入8ヶ月後に腸管延長術を施行した。栄養状態は著しく改善し、現在は経腸栄養と経静脈栄養を併用している。<考察>小腸移植待機および検討中にteduglutideを使用した症例を経験した。このような症例の管理法について考察する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s161_1