当科における肝移植後de novo発癌症例の検討と対策
【はじめに】臓器移植後の免疫抑制剤長期使用はde novo発癌リスクである.当科で行った肝移植レシピエントにおけるde novo 発がんの頻度及び予後を検討した.【方法】対象は1995~2023年に当科で実施した肝移植79例(脳死5例,生体74例)において de novo悪性腫瘍を発症した6例(8.0%).症例の内訳は,小児1名(1歳),成人5名(中央値65歳)で成人1例を除き女性であった.de novo悪性腫瘍は食道癌2例,膀胱癌,中枢神経悪性リンパ腫,PTLD,膵癌,上皮内有棘細胞癌が各1例であった.PTLDは移植後5か月と早期であったが,他の発生時期は移植後6-17年であった.治療は,食...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s324_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s324_3 |
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Summary: | 【はじめに】臓器移植後の免疫抑制剤長期使用はde novo発癌リスクである.当科で行った肝移植レシピエントにおけるde novo 発がんの頻度及び予後を検討した.【方法】対象は1995~2023年に当科で実施した肝移植79例(脳死5例,生体74例)において de novo悪性腫瘍を発症した6例(8.0%).症例の内訳は,小児1名(1歳),成人5名(中央値65歳)で成人1例を除き女性であった.de novo悪性腫瘍は食道癌2例,膀胱癌,中枢神経悪性リンパ腫,PTLD,膵癌,上皮内有棘細胞癌が各1例であった.PTLDは移植後5か月と早期であったが,他の発生時期は移植後6-17年であった.治療は,食道癌,膀胱癌,上皮内有棘細胞癌の3例に対しては腫瘍切除を施行し,非固形腫瘍の2例には全身化学療法を施行した.膵癌の1例には肝予備能の低下により外科手術は行われず化学療法のみを施行したが病勢の進行とともに肝不全徴候が顕在化し発症から8ヶ月で永眠された.6症例中3症例は現在も生存中である(観察期間1~8年).【考察】肝移植後の悪性腫瘍の発症率は一般集団と比較し2倍以上とされ,予後の改善のためには早期発見が重要である.スクリーニングの基準に統一した見解が得られていないが, 当院では1年毎のCT及び内視鏡検査を施行している.移植後の飲酒や喫煙もde novo悪性腫瘍発生のリスクが報告されており,移植後の生活指導を徹底する必要がある. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s324_3 |