脳死右肺移植術後に発症したde novo肺癌に対する加療経験

症例は63歳男性。脳死右片肺移植後の経過観察中、CTで左上葉に充実性結節を指摘される。経時的に増大することから肺癌を疑い、胸腔鏡下肺部分切除施行された。術後病理検査では扁平上皮癌の診断であった。その1年後に左上葉の切除断端近傍に結節影が出現、局所再発の診断で左上葉切除術とリンパ節廓清が行われた。さらに2年後には、葉間形成部位に沿って結節影が出現、増大傾向にあるためCTガイド下肺生検を施行、再々発が確認された。術前の精査で胸壁への浸潤も疑われることから、左残肺全摘、胸壁合併切除、心膜合併切除及び再建術が施行された。術後、残った移植肺の中下葉を中心として広範に浸潤影とすりガラス影が出現、肺胞出血と...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s296_1
Main Authors 朝重, 耕一, 小畑, 智裕, 蒲原, 涼太郎, 土肥, 良一郎, 佐々木, 俊輔, 町野, 隆介, 松本, 桂太郎, 永安, 武, 今井, 諒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s296_1

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Summary:症例は63歳男性。脳死右片肺移植後の経過観察中、CTで左上葉に充実性結節を指摘される。経時的に増大することから肺癌を疑い、胸腔鏡下肺部分切除施行された。術後病理検査では扁平上皮癌の診断であった。その1年後に左上葉の切除断端近傍に結節影が出現、局所再発の診断で左上葉切除術とリンパ節廓清が行われた。さらに2年後には、葉間形成部位に沿って結節影が出現、増大傾向にあるためCTガイド下肺生検を施行、再々発が確認された。術前の精査で胸壁への浸潤も疑われることから、左残肺全摘、胸壁合併切除、心膜合併切除及び再建術が施行された。術後、残った移植肺の中下葉を中心として広範に浸潤影とすりガラス影が出現、肺胞出血と呼吸状態の悪化があり、術後肺炎として加療を開始したが、臨床症状増悪し人工呼吸管理となった。細菌、真菌、ウイルス感染の検索を行うも陰性、気管支肺胞洗浄の結果でも感染症は否定的であった。そこで拒絶反応と判断し、ステロイドパルス療法を施行している。これにより症状は一旦改善したが、ステロイド漸減中にすぐに再燃、呼吸状態の悪化を認めた。再度ステロイドパルス療法を行っている。2回のステロイドパルス療法により呼吸状態の安定化と陰影改善を得ることができ人工呼吸器離脱できている。現在は離床に向け、リハビリ中である。文献的考察を加えて報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s296_1