当院の腎移植レシピエントにおけるCOVID-19の検討

【緒言】2020年より感染拡大したCOVID-19は血液透析をはじめとした腎不全医療に大きな影響を与えた。腎移植は免疫抑制剤の使用が必然でありCOVID-19の重症化リスクが高い。加えて2023年5月より5類感染症となり一般感染者への対応が緩和されることで腎移植患者のCOVID-19への暴露の機会が増えることが予想される。今回, 当院における腎移植レシピエントのCOVID-19感染の実態について, 重症化リスクを含めて検討した。【対象・方法】当院で経過を見ている腎移植レシピエントを対象とし2021年2月から2023年3月までにCOVID-19に罹患した48人を対象に年齢, 性別, BMI, 内...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s332_2
Main Authors 中井, 靖, 井上, 國彰, 森澤, 洋介, 田中, 宣道, 鳥本, 一匡, 米田, 龍生, 藤本, 清秀, 堀, 俊太, 富澤, 満, 三宅, 牧人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s332_2

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Summary:【緒言】2020年より感染拡大したCOVID-19は血液透析をはじめとした腎不全医療に大きな影響を与えた。腎移植は免疫抑制剤の使用が必然でありCOVID-19の重症化リスクが高い。加えて2023年5月より5類感染症となり一般感染者への対応が緩和されることで腎移植患者のCOVID-19への暴露の機会が増えることが予想される。今回, 当院における腎移植レシピエントのCOVID-19感染の実態について, 重症化リスクを含めて検討した。【対象・方法】当院で経過を見ている腎移植レシピエントを対象とし2021年2月から2023年3月までにCOVID-19に罹患した48人を対象に年齢, 性別, BMI, 内服薬などについて検討した。【結果】年齢53.0±11.8歳, 男性32名, 移植歴91.5±66.7ヶ月であった。時系列でみると2021年3名, 2022年1~4月が4名, 第7波である2022年6~9月が20名, 第8波である2022年11月~2023年3月が21名であった。入院は14名(29.1%)で軽症40名(83%), 中等症4名(8.3%), 重症4名(8.3%)で重症の1名は血液透析再導入となった。他院で診断され, 治療薬を使用せずに外来で経過を見ていた1名が自宅で急変し死亡した。解析の結果中等症以上となるリスク因子はPSL6mg以上内服している事と心疾患を併存している事であった(P<0.05)。【結語】COVID-19が一般感染症となり腎移植レシピエントの感染機会が増えることから, 腎移植レシピエントに対する治療方針は内服薬や既往歴などの患者背景も含めて考慮する必要がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s332_2