当院での小腸移植待機中におけるIFALD症例の経験と早期発見における現在の方針

【目的】腸管不全関連肝障害(IFALD)の当院での経験を提示し、早期発見及び適切な管理方法ついて考察することを目的とした。【方法】脳死小腸移植登録を行なった患者のうちIFALD発症例について、血液検査や肝生検所見、小腸・肝移植施行、経過について検討した。IFALDは総ビリルビン>2.0mg/dlと定義した。【結果】対象は3例であった。1例は15歳時に上腸間膜静脈血栓症を契機に短腸症に至った。21歳時にIFALDを発症、肝硬変に至り発症後9ヶ月後に生体肝移植を先行したが、液性拒絶を合併し肝不全が進行し、肝移植から6ヶ月後に死亡した。1例は先天性微絨毛萎縮症に対して16歳時に生体小腸移植を施...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s215_1
Main Authors 高瀬, 洪生, 田附, 裕子, 野村, 元成, 東堂, まりえ, 正畠, 和典, 神山, 雅史, 木村, 武司, 奥山, 宏臣, 岩崎, 駿, 出口, 幸一, 松木, 杏子, 上野, 豪久, 渡邊, 美穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s215_1

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Summary:【目的】腸管不全関連肝障害(IFALD)の当院での経験を提示し、早期発見及び適切な管理方法ついて考察することを目的とした。【方法】脳死小腸移植登録を行なった患者のうちIFALD発症例について、血液検査や肝生検所見、小腸・肝移植施行、経過について検討した。IFALDは総ビリルビン>2.0mg/dlと定義した。【結果】対象は3例であった。1例は15歳時に上腸間膜静脈血栓症を契機に短腸症に至った。21歳時にIFALDを発症、肝硬変に至り発症後9ヶ月後に生体肝移植を先行したが、液性拒絶を合併し肝不全が進行し、肝移植から6ヶ月後に死亡した。1例は先天性微絨毛萎縮症に対して16歳時に生体小腸移植を施行したが、慢性拒絶にて29歳時に移植小腸を摘出し短腸症となった。31歳時に感染症を契機にIFALDに至り、肝不全が進行し2ヶ月で死亡した。1例は7歳時に中腸軸捻転を契機に短腸症に至った。21歳時よりIFALDを発症し、腎不全も併発したため多臓器移植目的に22歳時に当院転院となったが、多臓器不全が進行し転院後2ヶ月で死亡した。これらの経験からIFALDは発症すると急速に進行し治療困難となるため、現在は小腸移植待機患者に対して、3ヶ月毎に肝線維化マーカーであるMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)を測定、また1年毎に経皮肝生検を施行し肝線維化の早期発見に努めている。【結論】IFALD発症後急速に進行し死亡した症例を経験した。現在はIFALD発症前から肝線維化の早期発見に努めている。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s215_1