菌血症を伴う尿路感染を発症した腎移植レシピエントの検討

【目的】腎移植後の尿路感染症やそれに伴う菌血症は重大な合併症として知られている。これらの合併症は移植腎機能低下や予後に影響を与える可能性がある。本研究では菌血症を伴う尿路感染症となった腎移植患者の患者背景、移植腎機能の推移、および予後について検討することを目的とした。【方法】当院で2007年4月から2022年3月までに行った234例の腎移植患者(生体腎移植196例、献腎移植38例)の中で、血液培養陽性の尿路感染症により入院加療が必要となった12例を対象とし、患者背景、移植腎機能の推移について検討した。【結果】12例のうち、男性8例、女性4例であり、献腎移植は2例であった。移植時年齢、BMI、移...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s255_3
Main Authors 太田, 康介, 徳永, 素, 高橋, 雄介, 窪田, 理沙, 藤原, 拓造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s255_3

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Summary:【目的】腎移植後の尿路感染症やそれに伴う菌血症は重大な合併症として知られている。これらの合併症は移植腎機能低下や予後に影響を与える可能性がある。本研究では菌血症を伴う尿路感染症となった腎移植患者の患者背景、移植腎機能の推移、および予後について検討することを目的とした。【方法】当院で2007年4月から2022年3月までに行った234例の腎移植患者(生体腎移植196例、献腎移植38例)の中で、血液培養陽性の尿路感染症により入院加療が必要となった12例を対象とし、患者背景、移植腎機能の推移について検討した。【結果】12例のうち、男性8例、女性4例であり、献腎移植は2例であった。移植時年齢、BMI、移植前透析期間の中央値(IQR)はそれぞれ50 (40-61) 歳、23.6 (21.1-27.6) kg/m2、16(9-62)か月であった。移植後から感染発症までの期間は中央値(IQR)で9(3-84)か月であり、2例が発症時尿管ステント留置されていた。7例で治療中免疫抑制薬の減量が行われていた。発症後の移植腎機能は低下したが、治療後はほとんどの症例で発症前と同等まで改善していた。1例が感染を契機に死亡し、2例が感染治療後1年以内に急性拒絶を経験した。【考察】適切な抗菌薬投与により菌血症を伴う尿路感染症でも移植腎機能が十分改善することが示唆された。細菌感染症は早期の初期治療が重要であり、移植後患者には有症状時の早期相談、受診をするよう指導を行う必要がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s255_3