認知機能障害を初発症状として診断されたlate onset PCNS-PTLDの2症例

【緒言】中枢神経原発(PCNS)移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)の症状として、局所症状である頭痛、痙攣、運動麻痺、精神状態の変化などが知られている。当院で経験した初発症状が認知機能障害だけであったlate onset PCNS-PTLDの2症例について報告する。【症例1】74歳男性。EBV serostatus+/+。移植後腎機能は長期安定、免疫抑制薬(IM)はMP4mg+TacER+MMF1000mgであった。移植後11年で内服・外来日忘れを指摘、その後転倒・意思疎通困難となり頭蓋内腫瘤を指摘され入院となった。EBV-PCR 3.2 Log IU/mLと上昇し、脳生検の結果Diffuse...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s399_2
Main Authors 宮内, 隆政, 寺下, 真帆, 池田, 麻理, 篠田, 和伸, 村田, 真理絵, 柴垣, 有吾, 谷澤, 雅彦, 大迫, 希代美, 藤田, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s399_2

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Summary:【緒言】中枢神経原発(PCNS)移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)の症状として、局所症状である頭痛、痙攣、運動麻痺、精神状態の変化などが知られている。当院で経験した初発症状が認知機能障害だけであったlate onset PCNS-PTLDの2症例について報告する。【症例1】74歳男性。EBV serostatus+/+。移植後腎機能は長期安定、免疫抑制薬(IM)はMP4mg+TacER+MMF1000mgであった。移植後11年で内服・外来日忘れを指摘、その後転倒・意思疎通困難となり頭蓋内腫瘤を指摘され入院となった。EBV-PCR 3.2 Log IU/mLと上昇し、脳生検の結果Diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)と診断された。脳浮腫予防のステロイド点滴のみとしIMは全て中止、治療目的で転院となった。【症例2】56歳女性。EBV serostatus+/+。移植後腎機能は長期安定、IMはMP2mg+TacER+MMF750mgであった。移植後12年で計算ができない、物忘れが多いことを指摘、頭部MRIで多発脳腫瘍を指摘され転移性脳腫瘍が疑われた。全身精査の結果原発腫瘍は発見できず、EBV-PCR 3.5 Log IU/mLと上昇、脳生検を施行しDLBCLと診断された。脳浮腫予防のステロイド点滴のみとしIMは全て中止、腫瘍増大に伴い意識状態は悪化し化学療法の適応外となった。消化管穿孔を発症し死亡した。【まとめ】認知機能障害を初発症状として発症し、診断までに3-12ヶ月を要したlate onset PCNS-PTLDを経験した。症状は病変部位により様々であり明らかな巣症状がなくても突然の認知機能障害の出現の際には積極的に疑うべきである。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s399_2