生体腎移植ドナーの移植後腎機能予測における移植前CT volumetryと腎動態シンチグラフィーの比較

【背景・目的】ドナーの分腎機能評価として腎動態シンチグラフィ(腎シンチ)が用いられる。CTによる腎体積測定;CT volumetry(CTV)の有用性も近年報告されている。両者は乖離を認める事もあり、どのような患者にどちらの検査が有用かは明確でない。本研究は両者による予測腎機能と移植後腎機能との相関性を評価した。両者の有用性に影響する患者因子を評価した。【対象】2008年4月30日から2022年4月30日に当院で施行した腎移植ドナー117人のうち、移植前に腎シンチとCTを施行した113人を対象とした。【方法】腎シンチ・CTVよりそれぞれ算出した予測eGFRと移植後eGFR(術後2日目:以下同様...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s372_3
Main Authors 松岡, 祐貴, 尾﨑, 悠, 上田, 修史, 土肥, 洋一郎, 岡添, 誉, 田岡, 利宜也, 常森, 寛行, 杉元, 幹史, 内藤, 宏仁, 松田, 伊織, 本田, 智子, 加藤, 琢磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s372_3

Cover

More Information
Summary:【背景・目的】ドナーの分腎機能評価として腎動態シンチグラフィ(腎シンチ)が用いられる。CTによる腎体積測定;CT volumetry(CTV)の有用性も近年報告されている。両者は乖離を認める事もあり、どのような患者にどちらの検査が有用かは明確でない。本研究は両者による予測腎機能と移植後腎機能との相関性を評価した。両者の有用性に影響する患者因子を評価した。【対象】2008年4月30日から2022年4月30日に当院で施行した腎移植ドナー117人のうち、移植前に腎シンチとCTを施行した113人を対象とした。【方法】腎シンチ・CTVよりそれぞれ算出した予測eGFRと移植後eGFR(術後2日目:以下同様)において相関係数と回帰式を求めた。両者の回帰式から得た予測eGFRと移植後eGFRの差を症例毎に算出し、差が小さいものをその症例の有用な検査と定義した。両検査を目的変数、移植前に一般的に評価する年齢・性別・BMI・Cr・血圧・糖尿病の有無を説明変数として多重ロジスティック回帰分析を行い、両検査の有用性に影響する因子を求めた。【結果】腎シンチ、CTVによる予測eGFRと移植後eGFRの相関係数は0.742、0.794であった。両回帰式から得た予測eGFRと移植後eGFRとの差の中央値は3.97、3.19ml/min/1.73m2であり、多重ロジスティック回帰分析ではBMIが高い症例では有意にCTVが有用であった(p<0.05)。【結語】腎シンチ・CTVによる予測腎機能は、両者とも移植後腎機能と正の相関を示した。BMIが高い症例ではCTVが腎シンチより有用であることが示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s372_3