当院における肝移植後患者とCOVID-19感染の現況
【背景】肝移植後の患者は免疫抑制剤の使用により免疫低下状態にあり, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも注意が必要である. 当院の肝移植後患者のCOVID-19感染状況とその対応や予後について分析をした. 【方法】対象は1997年4月1日から2022年12月31日までに当院で肝移植を行い, 生存中の成人患者. COVID-19感染に関する患者背景や治療法を後方視的に解析した. 【結果】対象患者は185例, 定期的に外来でフォローし, 有事は相談をするように指示していた. COVID-19感染歴は15例(8.1%), 1例は2回感染をしていた. 感染者のワクチン接種歴は13例(86....
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s319_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s319_3 |
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Summary: | 【背景】肝移植後の患者は免疫抑制剤の使用により免疫低下状態にあり, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも注意が必要である. 当院の肝移植後患者のCOVID-19感染状況とその対応や予後について分析をした. 【方法】対象は1997年4月1日から2022年12月31日までに当院で肝移植を行い, 生存中の成人患者. COVID-19感染に関する患者背景や治療法を後方視的に解析した. 【結果】対象患者は185例, 定期的に外来でフォローし, 有事は相談をするように指示していた. COVID-19感染歴は15例(8.1%), 1例は2回感染をしていた. 感染者のワクチン接種歴は13例(86.7%)であり, 接種回数(中央値, 範囲)は3回(0-5回)であった. 免疫抑制剤はFK/CyAを全例, MMFを12例(80.0%), ステロイドを3例(20.0%)で用いていた. 患者背景や免疫抑制剤の種類, ワクチン接種歴などとCOVID-19感染に関して一定の傾向は見出せなかった. 軽症:11例(73.3%), 中等症1:2例(13.3%), 中等症2:2例(13.3%)で, 重症例はなく, 7例(46.7%)で入院加療を行った. そのうちレムデジビルを4例(26.6%), ソトロビマブを1例(6.7%), ヘパリン製剤を4例(26.6%)で使用した. 発症から入院までの期間は1日(1-7日)で, 入院期間は9日(3-27日)であった. 現在は全例が軽快し生存中である. 【結論】肝移植後患者のCOVID-19感染に関する明確なリスク因子はないが, 患者指導により1次予防や2次予防を適切に実施し, 重症化の予防や良好な予後を得ることができた. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s319_3 |