骨延長法を応用した上顎歯列弓前方拡大

骨格性反対咬合で、外科的矯正治療の適応と診断され、上顎骨に骨延長法を応用した上顎歯列弓前方拡大を併用した3症例の治療結果について検討を行った。対象は、骨格性反対咬合で外科的矯正治療の適応と診断された3名(初診時年齢16歳5か月女子、28歳9か月女子、26歳3か月男子)である。資料としてこれら3症例の初診時および拡大終了時の上顎歯列石膏模型、側貌顔面規格写真および側面頭部X線規格写真を用いた。いずれも、初診時に中顔面の陥凹感と上顎歯列に叢生が認められた。中顔面部の前方移動とarch length discrepancyの解消および上顎前歯歯軸の改善のために、これら3症例に骨延長法を応用した上顎歯...

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Published in北海道矯正歯科学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 山本, 隆昭, 井上, 農夫男, 宇賀, 大, 豊泉, 裕, 松山, 功, 岩崎, 弘志, 山方, 秀一, 大畑, 昇, 飯田, 順一郎, 佐藤, 嘉晃, レオナルド遠藤, 幸真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北海道矯正歯科学会 2002
Hokkaido Orthodontic Society
Subjects
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ISSN0916-202X
2432-6747
DOI10.20760/dokyo.30.1_1

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Summary:骨格性反対咬合で、外科的矯正治療の適応と診断され、上顎骨に骨延長法を応用した上顎歯列弓前方拡大を併用した3症例の治療結果について検討を行った。対象は、骨格性反対咬合で外科的矯正治療の適応と診断された3名(初診時年齢16歳5か月女子、28歳9か月女子、26歳3か月男子)である。資料としてこれら3症例の初診時および拡大終了時の上顎歯列石膏模型、側貌顔面規格写真および側面頭部X線規格写真を用いた。いずれも、初診時に中顔面の陥凹感と上顎歯列に叢生が認められた。中顔面部の前方移動とarch length discrepancyの解消および上顎前歯歯軸の改善のために、これら3症例に骨延長法を応用した上顎歯列弓前方拡大を適応した。またその中の1例に対しては同時に上顎歯列弓側方拡大を行った。拡大装置としては、エクスパンジョンスクリューを用いた。上顎骨切り術後1〜4日間の待機期間後、1日あたり1mmで7〜9日間の拡大を行った。前方拡大量は4.8〜9.1mmであった。同時に側方拡大を行った1例では両側第一小臼歯間で6.8mmの拡大をした。側貌からは中顔面部の明らかな前方移動が認められ、またSNAで+3.5〜+5.1°、SNBで-1.2〜-0.3°、NSP-Aで+4.4〜+5.6mm、U1-SNで+7.1〜+11.2°の変化がみられた。以上より本法により、上顎前歯歯軸傾斜および上顎歯列弓のarch length discrepancyに関する歯列内の問題点を解消するのに十分な歯槽基底の拡大が得られた。また、中顔面の前方移動によって側貌の改善が認められた。
ISSN:0916-202X
2432-6747
DOI:10.20760/dokyo.30.1_1