当院の肺移植後リンパ増殖性疾患7例の検討 ~治療後のCLAD発症と日和見感染症による死亡をどう防ぐか

日本の肺移植における移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)は移植後死亡の約3.4%を占める。しかし、そのリスク因子や予後因子、適切な治療については不明である。我々は移植前の免疫抑制状態とCLADに着目し、当院の肺移植後PTLD症例を検討した。 2020年2月までに当院で施行された肺移植204例中、7例(3.4%)のPTLD症例(両側脳死4例、両側生体3例)が抽出された。男性5例、手術時年齢中央値44才(2~50才)。原疾患はIPF 2例、膠原病合併IP 2例、その他のIP 1例、造血幹細胞移植後のBOS 2例であった。全例、移植時点でPSL 5~30mg/日内服しており、内服期間中央値は77ヶ月(...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 246_1
Main Authors 富岡, 泰章, 山根, 正修, 豊岡, 伸一, 岡﨑, 幹生, 松原, 慧, 清水, 大, 山本, 治慎, 塩谷, 俊雄, 杉本, 誠一郎, 三好, 健太郎, 大谷, 真二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_246_1

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Summary:日本の肺移植における移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)は移植後死亡の約3.4%を占める。しかし、そのリスク因子や予後因子、適切な治療については不明である。我々は移植前の免疫抑制状態とCLADに着目し、当院の肺移植後PTLD症例を検討した。 2020年2月までに当院で施行された肺移植204例中、7例(3.4%)のPTLD症例(両側脳死4例、両側生体3例)が抽出された。男性5例、手術時年齢中央値44才(2~50才)。原疾患はIPF 2例、膠原病合併IP 2例、その他のIP 1例、造血幹細胞移植後のBOS 2例であった。全例、移植時点でPSL 5~30mg/日内服しており、内服期間中央値は77ヶ月(13~228ヶ月)だった。EBV非関連PTLDの1症例を除いた6例がEBV関連のDLBCLであり、その初回治療は全例Weekly Rituximabであった。追加治療は、病変切除が3例、化学療法併用が2例、自家末梢血幹細胞移植が1例(重複あり)であった。発症後1年以内に3例が死亡し、いずれも日和見感染が死亡に強く関与していた。2年以上生存した4例中3例でPTLD治療後にCLADを発症した。 肺移植後PTLD症例では移植前の免疫抑制状態が発症のリスクであることが示唆される。また、晩期にCLADを高率に発症するが、同時に日和見感染症による死亡が問題であり、適切な免疫抑制状態の指標構築が急務である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_246_1