小柴胡湯のヒトリンパ球に対する免疫薬理作用 薬剤添加リンパ球刺激試験と白血球遊走阻止試験における小柴胡湯の抗原調製の検討

「緒言」 近年, 小柴胡湯による間質性肺炎が問題となり, その報告例も極めて多い. 佐藤は, 1990年1月から1997年7月までの7年半の間に全国各施設から報告された小柴胡湯の単独関与に起因すると思われる薬剤性肺炎100例の診断の根拠に, 臨床経過が63%, 薬剤添加リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test, DLST)が32%, チャレンジテストが5%であったと報告している. すなわち, 小柴胡湯による間質性肺炎の根拠の3分の1はDLSTに依存していることになる. しかし, 築山らの報告を最初に小柴胡湯による間質性肺炎の起因薬剤の同...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 27; no. 4; pp. 307 - 316
Main Authors 宇野, 勝次, 高中, 紘一郎, 阿部, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.08.2001
日本医療薬学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.27.307

Cover

More Information
Summary:「緒言」 近年, 小柴胡湯による間質性肺炎が問題となり, その報告例も極めて多い. 佐藤は, 1990年1月から1997年7月までの7年半の間に全国各施設から報告された小柴胡湯の単独関与に起因すると思われる薬剤性肺炎100例の診断の根拠に, 臨床経過が63%, 薬剤添加リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test, DLST)が32%, チャレンジテストが5%であったと報告している. すなわち, 小柴胡湯による間質性肺炎の根拠の3分の1はDLSTに依存していることになる. しかし, 築山らの報告を最初に小柴胡湯による間質性肺炎の起因薬剤の同定にDLSTが多用されてきたが, そのほとんどの報告はcontrol studyがなされておらず, 反応濃度が記載されていない. したがって, DLSTで小柴胡湯に陽性を示した今までの報告が小柴胡湯の抗原性を証明しているかは疑問が残る.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.27.307