腎移植16年後に発症した感染性心内膜炎の一例

症例は31歳、男性。XX年に献腎移植術を施行、以後腎機能は良好に経過していた。XX+10年、スクリーニング検査で大動脈弁異常を指摘、大動脈弁輪拡張症の診断でXX+11年に大動脈弁形成術及び大動脈弁基部再建術を施行された。その後、XX+15年に施行した心エコー検査で大動脈閉鎖不全の増悪を認め、再手術を行う方針となったが、本人・家族が経過観察を強く希望。以後、心臓血管外科への受診を自己中断していた。XX+16年、発熱、悪寒を主訴に当科を予約外受診。その時点での免疫抑制剤はタクロリムス、ミゾリビン、ステロイドの3剤、採血ではCre 1.81、WBC 16200、CRP 6.97であった。入院での精査...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 391_1
Main Authors 兼平, 貢, 杉村, 淳, 井藤, 綾人, 高田, 亮, 山口, 剛史, 川上, 淳, 前川, 滋克, 薄, 善孝, 加藤, 陽一郎, 加藤, 廉平, 小原, 航, 松浦, 朋彦, 坪井, 潤一, 守口, 万里子, 阿部, 貴弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_391_1

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Summary:症例は31歳、男性。XX年に献腎移植術を施行、以後腎機能は良好に経過していた。XX+10年、スクリーニング検査で大動脈弁異常を指摘、大動脈弁輪拡張症の診断でXX+11年に大動脈弁形成術及び大動脈弁基部再建術を施行された。その後、XX+15年に施行した心エコー検査で大動脈閉鎖不全の増悪を認め、再手術を行う方針となったが、本人・家族が経過観察を強く希望。以後、心臓血管外科への受診を自己中断していた。XX+16年、発熱、悪寒を主訴に当科を予約外受診。その時点での免疫抑制剤はタクロリムス、ミゾリビン、ステロイドの3剤、採血ではCre 1.81、WBC 16200、CRP 6.97であった。入院での精査加療を薦めるも拒否し、帰宅。その2週間後に症状改善が無いと再受診した。CT検査で肺に浸潤影と多発結節影を認めたため、即日入院。入院後の精査で大動脈弁・三尖弁に疣贅、大動脈弁輪部から右心房へのシャント血流を認め、頭部MRI検査では急性期多発脳梗塞像を認めた。血液培養検査でMRSAが検出され、感染性心内膜炎による多発塞栓症と診断した。その後、当院心臓血管外科にて緊急手術を施行、術後経過は良好で26病日にリハビリ目的転院となった。感染性心内膜炎は適切な対応をとらないと死に至る重要な疾患である。今回我々は腎移植後16年を経て発生した感染性心内膜炎の症例を経験したため文献的考察を加え報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_391_1