腎移植後超早期・早期TMA症例における補体関連因子解析~多施設共同後向きコホート研究

腎移植後超早期・早期発症の血栓性微小血管症(TMA)における患者背景及び補体関連因子の解析結果を報告する。術後1週以内のTMA発症群の全国11施設19症例において、臨床データ収集、血液検査及びNGS解析を行った。血液検査はnon TMA群9例と比較した。患者背景は、献腎1例、生体腎18例(グラフト喪失5例)、17例がABO不適合移植で、16例はPEやDFPPによるコンディショニング不十分症例と思われた。グラフト喪失症例はすべて12時間以内のTMA発症例であった。遺伝子解析からCFHR3/1欠失、CFHR1/4欠失、CFHR1 D35Vfs(終始コドンを伴う欠失)などの補体制御系の欠損をもつ症例...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 233_1
Main Authors 上條, 裕司, 藤山, 信弘, 田﨑, 正行, 白川, 浩希, 若宮, 伸隆, 井上, 徳光, 佐藤, 滋, 蔦原, 宏一, 杉村, 淳, 松本, 明彦, 原田, 浩, 齋藤, 満, 岩見, 大基, 乾, 政志, 豊田, 麻理子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_233_1

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Summary:腎移植後超早期・早期発症の血栓性微小血管症(TMA)における患者背景及び補体関連因子の解析結果を報告する。術後1週以内のTMA発症群の全国11施設19症例において、臨床データ収集、血液検査及びNGS解析を行った。血液検査はnon TMA群9例と比較した。患者背景は、献腎1例、生体腎18例(グラフト喪失5例)、17例がABO不適合移植で、16例はPEやDFPPによるコンディショニング不十分症例と思われた。グラフト喪失症例はすべて12時間以内のTMA発症例であった。遺伝子解析からCFHR3/1欠失、CFHR1/4欠失、CFHR1 D35Vfs(終始コドンを伴う欠失)などの補体制御系の欠損をもつ症例が見られた。腎移植後TMA発症直後にグラフト喪失に至ったのはCFHR1/4欠失例のみであった。その他CFH、MCP、C3、CFIなどに疾患関連候補としてマイナー頻度変異が見つかった。血液分析では補体代替経路CFB分解産物Ba値や補体制御因子CFI値においてTMA群とnonTMA群で差が見られた。CFH-IgG高値2例やC4高値4例がTMA症例にのみ見られ、CFH-IgG高値例ではCFH SCR18の変異を持つ症例があった。【結語】CFHR欠損が腎移植後早期TMAの危険因子の1つと考えられ、Baなどが血液マーカーの候補として考えられたが、重症度やグラフト喪失との関連性は更なる評価が必要である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_233_1